2011.04/11 [Mon]
西尾維新『化物語(下)』
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★★★★★
優しいところ。可愛いところ。
私が困っているときみはいつだって助けに駆けつけてくれる王子様みたいなところ
青春を、おかしくするのはつきものだ! 阿良々木暦が直面する、完全無欠の委員長・羽川翼が魅せられた「怪異」とは――!? 西尾維新が全力で放つ青春怪異譚、第二弾。これぞ現代の怪異!怪異!怪異。
「化物語」第1作 下巻。
父親同伴初デート車中のひたぎが可愛すぎる件。どんだけ嬉しいの。この場面で完全にひたぎ推しになりましたね。そうそういつもロリキャラに惹かれると思ったら大間違い。八九寺より、ひたぎ。千石撫子より、断然!
まあ。キャラクターの一挙一動二府四十三県がどうのとか掛け合いの愉しさについては、たぶん多くの人がそれこそ限りなくレビューしてくれていると思うので、ちょっと真面目な観点から。
本作は上下巻併せて5つの中編から成り立っています戦場ヶ原ひたぎが蟹に行き遭う「ひたぎクラブ」、蝸牛に迷う八九寺真宵の「まよいマイマイ」、猿に願った神原駿河の「するがモンキー」、千石撫子が蛇に巻かれた「なでこスネイク」、そして羽川翼が再び猫に魅せられる「つばさキャット」。各話ごとにヒロインが入れ替わり、登場人物もメインキャラクターの中から取捨選択されて物語を繰り広げます。
「どんな脇役・端役にもその人の物語がある」を信条としている私には、この構成がかなりツボでした。主要キャラの人間関係が等価ではないので話によってまったく出てこない娘もいる。面識すらない場合もある。お気楽で楽しげに喋っているように見えて、心の内にはそれぞれ悩みを抱えて生きている。現実世界では当たり前のことなのですが、この手の読者層を限定した作品群では意外とできていない部分です。
キャッチーな会話劇ばかりが評価されている本作ですけれど、「化物語」は怪異譚を扱ったエンタメ小説であると同時に、語り部の阿良々木くんを狂言廻しにした群像劇としての読み応えも十二分にあるんじゃないかと思う。
「ひたぎクラブ」での戦場ヶ原ひたぎとの出逢いが、「つばさキャット」の羽川翼の変貌に直結する。誰かと出逢い、重ねっていった毎日が最後の一話に纏め上げられ、上下巻併せてひとつの物語を形成していく。この美しい帰結。
西尾維新の著作では間違いなく最高傑作。
余談。
アニメ版のEDである supercell「君の知らない物語」がこんなにぴったりな曲だとは、下巻を読むまで知らなかった。
それとこの曲、何気に叙述トリックソングですよね。
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