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映画『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』

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★★☆☆☆
――世界はどこで間違ってしまったんだ?
モールイマジンと戦っていたオーズの前に、時空を飛び越えられるデンライナーで駆けつけたNEW電王。これから1971年11月11日に逃げたモールイマジンを追いかけるというデンライナーに、映司&アンクは強引に乗車する。NEW電王は過去の世界でモールイマジンを倒すが、アンクが落としたセルメダルが悪の秘密結社ショッカーに渡ったことで、歴史が変わってしまう。再び2011年に戻ってきた映司とアンクが見たものは、ショッカー軍団に支配された暗黒の世界だった……!! (2011年 日本)


「仮面ライダー電王」劇場版 第6作。話題の「仮面ライダー」生誕40周年記念作品を観て参りました。
 タイトルにある“電王”とはNEW電王のこと。本作ではNEW電王=野上幸太郎が“電王”を名乗り、オーズと一緒に話を引っ張っていきます。40年のライダーの歴史を現行の2人が引き継ぐというのがひとつのテーマになっていて、名実共にNEW電王が主役ライダーとして認められた作品だと思います。これからのNEW電王の活躍に超期待!!

 本放送での1000回記念特別編などから推察するに、『オーズ』は歴代ライダーの物語が緩く繋がった世界観のようです。だからモールイマジンが出てくることにもさほど不自然さはなく、電王の力で過去に遡ったその時代には1号2号がショッカーと戦っている。そして、過去への介入によってショッカーの世界征服が実現してしまう。40周年に相応しい if 設定です。
 同じくオールライダーを扱った『仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』はパラレルワールド設定の上に成り立ち、地獄大使や死神博士、シャドームーンが出てきても所詮は別人。しかし今回は違います。かつての『仮面ライダー』の地続きにある世界で“最悪のシナリオ”を見せてくれる。仮面ライダー1号は本郷猛だし、仮面ライダー2号も当然一文字隼人ご本人。悪の国連会議に出席する彼らも皆、オリジナルという設定です。
 すべての敵組織がいきなり大ショッカーを名乗り終結しているわけではなく、GOD機関やゲドン、ミュージアムのような勢力が個別に存在し、大幹部たちがとりあえずの和平協定を結んでショッカーに併合されるくだりも良かった。

 ショッカーの支配する世界で仮面ライダーが最高の戦力として立ちはだかり、デンライナーは破壊されて時間移動も不可能。モモタロスと幸太郎以外のデンライナーのメンツは全員死亡。かつてのほどのこの危機に興奮の連続です。
 グリッドマンの如く広場で磔にされるM半アンク、映司、幸太郎に少年仮面ライダー隊がベルトを届けようとするシーンでは燃え、民衆が圧倒的な“数の力”でショッカーに抵抗するところもなかなか。

 しかし。そろそろ言っても良いかな。何が最悪ってこの映画、歴史の修正できてないよね?
 投げっぱのままで完全に破綻している脚本。ありえない。米村脚本だからある程度の覚悟はしていたけれど、ここまで酷いとは思わなかった。これにOK出した製作陣が何を考えているのかがわからない。こんなもの、世に出す前に誰か止めろよ!
 こんな破綻に気付いていないんだったらぼんくらも良いところだし、気付いてて公開しているんだったら客をナメているにも程がある。稼げるからって映画を乱発するのは良いとしても、少なくとも最低限のレベルは保って仕事してほしい。どんだけテキトーだ。プライドとかないわけ?

――クールダウン、クールダウン。

 前半の盛り上がりと、私の最も好きなライダーであるNEW電王(番組としては『キバ』ですけど)が活躍していたからこの評価ですが、そうじゃなかったら普通に★×1を付けている酷さ。

(あまりにも酷すぎたので、どうやったら整合性がとれたのか、自分なりにその方法を図にまとめてみました。以下、ネタバレ。)


徹底検証。

映画『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』は
どうすれば良かったの?



映画で描かれた場面を元に時間軸の図を組み立ててみました。
赤文字が整合性を図るために必要な経緯。




 →→時間軸A(2011年)=最初の時間軸→→→時間軸A(2011年)継続=オーズ本編へ
    ↓ (オーズ VS モールイマジン、映司と幸太郎の邂逅)
    ↓                       
    ↓デンライナー組、オーズ組 過去へ
     ↓
  時間軸B(1971年)=一度目の逆行(モールイマジン VS NEW電王、アンクがメダルを落とす)
    ↓
    ↓デンライナー組、オーズ組 現代へ
    ↓
 →時間軸B(2011年)=ショッカーの支配する世界→→→時間軸B(2011年・再び)
↑  ↓ (オーズ VS ダブルライダー)             =依然としてショッカーの支配する世界
↑  ↓                               (デンライナー爆破~公開処刑~最終決戦)
↑  ↓デンライナー組、ナオキ、ミツル 過去へ        ・ダブルライダーは洗脳されたフリだった
↑  ↓                                ・ミツルの父(ナオキ)は実は生きていた
↑ 時間軸B'(1971年)=40年前のさらに1分前                  ↓
↑  ↓ (修正失敗、ショッカーグリード誕生、デンライナー損壊)    時間軸B(2011年・ラスト)
↑  ↓ ナオキとテディが“過去”に残留                  ・40年ショッカーに支配された世界
↑  ↓                                      ・比奈との関係に齟齬?
↑  ↓デンライナー組 現代へ                        ※映画はこの時間軸のままで終了
↑  ↓                                        
↑  ↓テディ死亡、ナオキがノッコと結ばれ、ミツル誕生           ↓デンライナー組 過去へ
↑  ↓科学者となったナオキがダブルライダーの洗脳を解く         
↑   ↓                                    時間軸B''(1971年)
 ←←                                     =時間軸B'でナオキが下車した直後
↑                                        (ショッカーグリードを討伐、歴史修正)
↑                                                      ↓
↑                                                      ↓
 ←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←←
         デンライナー組 現代へ (ただし、ナオキは1971年に残したまま)




ずばり、コレです。
この図の通りに事を運べば、物語が破綻なく最初の場面、ひいては『オーズ』本編まで繋げられるハズ。

 要するに改変してできた時間軸Bを、再度修正し直して最初の時間軸Aに持っていくのです。
 ここでポイントになるのは子供ナオキを71年に残したままにすること。これは大人になったナオキの希望でもあり、ミツルの誕生にも関わる出来事だからです。また、ナオキを“過去”に残すことで今回の映画の事件を完全になかったことにするのではなく、“事件はあったけど大局は変わらない現在”を作り出す役割も果たします。これは主にNEW電王とオーズ、1号2号の出逢いを記憶から抹消しないための措置です。

 そして過去にナオキを残してきたことによって、2011年の現在にナオキがふたり存在することにもなります。子供のナオキと大人のナオキです。冒頭でモールイマジンに襲われた“現在”のナオキが40年前の記憶を持っていた問題もここで解決させます。つまり、モールイマジンが遭遇したナオキ(小)には40年前の記憶はないけれど、同一の時間に存在しているナオキ(大)にはそれがある。ナオキ(小)とナオキ(大)は本来まったく同じ存在であるため、直接記憶を共有はしていなくとも、存在自体がリンクしてナオキ(小)からナオキ(大)の記憶を引き出した、という仕組み。『大決戦!超ウルトラ8兄弟』で並行世界のダイゴたちがウルトラマンに変身できたのと同じ論法ですね。

 時間軸BをB'を経て、表面的な事実を変化させずに“中身”の意味合いを変えてみせたことによって、時間軸Aではナオキ(小)が存在している点を押さえればある程度の自由を利かせられることも可能ではないかと推測できます。こちらは『サマータイムマシン・ブルース』からの着想です。
 この作業によって、本作の出来事を経由した上でテレビシリーズ本編に繋がる時間軸を上手く形成できたのではないでしょうか。
――というか、こういう辻褄合わせは本当ならスタッフがきちんとやるべきことなんだけど……。




 エキストラの喋りには壮絶に萎え、そこから始まるライダーコールもちょっと……ショーじゃないんだから。手の上げ方やコールが揃いすぎているのも妙な違和感を覚えたし、オーナーが登場したところで群衆が綺麗さっぱり黙りこくったところにもリアリティに欠ける。『電王』お得意の「記憶こそが時間」理論もそれ言っちゃったら何でもアリじゃんと思わなくもない。
 『プリキュア』映画のように、ライダーを応援する観衆の延長線上に客席の人々がいて、われわれ観客の想いに応えてライダーが復活!!とやりたい意図は汲み取れるのですが(あの世界の歴史にいなかったV3以降のライダーが復活したのはこのメタ的な解釈があるから)、あまりにも恥ずかしい演出でどうにも乗り切れない。

 ラストバトルで馳せ参じるサブライダーたちが「絵」だとか、40のカタチでバイクごと突っ込んでいく必殺技は何やっちゃってんの、と薄ら寒くすらあります。てか明らかに悪ライダーを味方に入れるのもどうなんだと。どう考えてもネタにしか見えない。


 救いといえば、特報段階で地雷の気配があった『Let's Go RiderKick 2011』が意外と悪くなかったのと、『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』のタイトルが割としっくりきていたことくらいですかね。「ゴジラ」っぽい。

とりあえず来年は『EPISODE BLUE』のような幸太郎主役の締まった話が観たい。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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