2011.04/14 [Thu]
映画『[リミット]』
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★★☆☆☆
うっそー 騙されたわね! メッセージを聞いたら折り返し電話します。
イラクで民間トラックドライバーとして働いていたポール、トラックが襲われ気がつくと木箱の中……。手元にはライター、懐中電灯、携帯電話があるのみ。電話で家族、警察、FBIに連絡するが埒が明かない。その上、テロリストからの電話で3時間後に$5Mを届けない限り命は無いと宣告される。やっとの思いで国防省と連絡がとれ、救出の兆しが出てくるものの箱の裂け目からは砂が入り込んできて砂時計状態。救援はすぐそこまで来ているという吉報にも関わらず、砂がポールを埋めていく。 (2010年 スペイン)
登場人物は主人公ただひとり。シチュエーションはどこかに埋められた狭い棺の中。90分、本当にこれだけで物語を保たせてしまう俳優の演技力と演出には頭が下がります。動くことすらままならないような極限に限定された空間で展開されるシナリオも、観ていてまったく飽きがこない。
何故、彼は埋められたのか? 犯人の目的は何なのか? 救出活動は本当に進んでいるのか? そもそも、ここは本当にイラクなのか?――主人公同様、まったく外部の状況を遮断された状態に置かれているため、観客は否が応にも事件の全容、起こりうる可能性についてあれこれ想像を巡らせることでしょう。
真相を知りたいという欲求が高まるにつれ、そのぶん期待値がぐぐっと上がっていくのも確かで、そういった面では最終的に提示されるオチがやや期待外れな「予想以下」で終わってしまった感はありました。製作側としては捻ったつもりかもしれないけれど、「あ、そう」みたいな。
EDの曲の軽さもなんとかならなかったのかな。すべてとは言わないまでも、あれのおかげで作品そのものが大分冗談めいたものになってしまった。
人間心理の在り様は相当にリアル。パニック状態から始まり、最後には悟りに近い心境に至るまでの変化も見ものです。狭い箱の中での焦燥感、冷静すぎるお役所の対応と必要以上のたらい回しには苛立ちを覚え、道徳観念のカケラもない企業の形振り構わぬ保身行為に怒りを通り越して絶句し、絶望のどん底に叩き落とされる。ポーリーが認知症の母親に別れの電話を掛けるシーンは虚しさと切なさで胸が締め付けられる想いでした。
まるで憂さ晴らしの言い掛かりのような犯人の言い分にしても、国際情勢を鑑みると無下にできない説得力があります。
決してつまらないわけではなく、むしろ設定の割(失礼?)に内容はしっかりとしているのだけど、観ている側の想像力がオチに勝ってしまうのが難点。微妙なところです。
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