2011.03/10 [Thu]
相棒 Season 9 最終話「亡霊」
★★★★★
左翼過激派の幹部で70年代、数多くのテロ事件に関与した本多の死刑が執行された。国外に逃亡していた本多だったが、若いテロリストたちに娘の茉莉を人質にテロ計画への協力を求められると、一昨年密かに帰国。右京らの活躍もあり、逮捕されると死刑判決を受けていた。が、獄中の元法務大臣・瀬戸内から呼び出された右京は、本多が生きて釈放されたらしい、と告げられる。瀬戸内の話は本当なのか? 右京は娘の茉莉が本多の遺体を引き取らなかったことに疑問を抱き、尊と共に茉莉の自宅へ。そこで身元不明の他殺体を発見する。その殺害方法などから右京は本多が茉莉を訪ねてきていたことを確信。瀬戸内の言う通り、本多は釈放されたらしい。やがて、本多釈放に衆議院議員の片山雛子が関与していた疑いが浮上して……。
Season 9 もついに最終回。第18話は Season 8 第1話「カナリアの娘」で逮捕された左翼過激派“赤いカナリア”の元幹部・本多篤人が超法規的措置によって死刑を免れている疑いがあるというところから始まります。
総理大臣宛てに送られてきた炭疽菌による死刑囚の釈放要求、テロリストとの交渉、政治家の思惑、公安の正義
、国民に対する事実の隠匿、警察組織への圧力……。これでもかというほど大規模なストーリーに、命を狙われる本多と茉莉のスリリングな逃避行が描かれる。個人的には正月SPの「聖戦」よりも、今回の方が親子のドラマとしての完成度はずっと高いと思います。
今シーズン、視聴率20%台を連続で出しているのもよくわかる。レギュラー放送の刑事ものの連続ドラマでここまでやっちゃうんだもん。そりゃあ、みんな見るって。
特に今回、これもう映画だろ。
過去のエピソードを下敷きにして後日談をつくるのは海外ドラマ同様。この手法ができるのがシーズン制を導入している『相棒』の強み。最近では「ウルトラシリーズ」も『スタートレック』ばりの編算をしてみせ頑張っていますが、日本のドラマでこういった作品は極めて珍しく、海外ドラマ好きには堪りません。
『相棒』ファン的には、なんといっても瀬戸内さんの再登場が嬉しいですね。特命係の良き理解者も Season 7 で逮捕されてしまいこのままフェードアウトかと思いきや、獄中の囚人としてまた出番がある。かつて懇意にしていた仲だけあって薫ちゃんのサルウィン行きも話題に上り、歓喜もの。
雛ちゃんはさすがにそこまで深入ってはこなかったけれど、それでも神戸君を見て「そちらは?」と訊ねるあたり製作陣の配慮が行き届いて良かったです。
考えてみれば今回は神戸君にとっては初めての国家レベルの大事件。警視庁籠城や警察庁からの庁内スパイ、顔認証システムによる監視社会の構築など大掛かりなものはあれど、直接国政に関わってくるような事件はこれが初です。結婚式の引き出物から果ては日本の国まで、何でもござれの特命係の洗礼をようやくここで受けることになりました。たぶん特命係という部署の特殊性、すごさを改めて感じたことでしょう。
ここらを心得ている伊丹が情報をリークし、自分たちでは動けない案件を右京さんたちに解決させるのも胸熱展開。
そしてここに来て、ようやく劇中にて小野田官房長が落命していたことが明言されます。そこまでの流れも比較的上手く作られていたので、何も情報を仕入れずに見ていた人はなかなか衝撃的だったのでは? や、CMでだいたいネタバレしてるからある程度の覚悟できてはいたかも。
今回のサブタイトル「亡霊」は小野田さんの遺志のことでもあり、戸籍を失った本多篤人のことでもある。ダブルミーニングになっています。
Season 9 の最終話にこれを持ってきたのは『劇場版Ⅱ』の番宣の意図も勿論あるのだろうけど、やっぱり小野田公顕追悼の意味合いが大きいですよね。いままでの官房長のイメージは問題の劇場版含め、飄々として食えない敵、コミカルながら時に冷徹なイメージが強かった。それがこの最終話、瀬戸内さんの回想での小野田公顕、最後の姿はなんともカッコ良い!! 恐らくこれで見納めとなるであろう最後のシーンで、万人が小野田官房長の勇姿に痺れる。
――なんとまぁ憎らしい演出じゃないですか。Season 9、そして『劇場版Ⅱ』はこのシーンのためだけにあったといって良い。
まさしく、小野田さんのための Season 9 でした。
キャラについてばかり語ってしまった気がしなくもないですが、
最後の下手な合成のヘリコプター以外は大変満足なお話でした。
シーズン全体の総括はまた後日。
まずは『相棒』スタッフ&キャストの皆様、お疲れ様です。そしてありがとうございます。
半年後の Season 10 、楽しみに待っています!!
左翼過激派の幹部で70年代、数多くのテロ事件に関与した本多の死刑が執行された。国外に逃亡していた本多だったが、若いテロリストたちに娘の茉莉を人質にテロ計画への協力を求められると、一昨年密かに帰国。右京らの活躍もあり、逮捕されると死刑判決を受けていた。が、獄中の元法務大臣・瀬戸内から呼び出された右京は、本多が生きて釈放されたらしい、と告げられる。瀬戸内の話は本当なのか? 右京は娘の茉莉が本多の遺体を引き取らなかったことに疑問を抱き、尊と共に茉莉の自宅へ。そこで身元不明の他殺体を発見する。その殺害方法などから右京は本多が茉莉を訪ねてきていたことを確信。瀬戸内の言う通り、本多は釈放されたらしい。やがて、本多釈放に衆議院議員の片山雛子が関与していた疑いが浮上して……。
Season 9 もついに最終回。第18話は Season 8 第1話「カナリアの娘」で逮捕された左翼過激派“赤いカナリア”の元幹部・本多篤人が超法規的措置によって死刑を免れている疑いがあるというところから始まります。
総理大臣宛てに送られてきた炭疽菌による死刑囚の釈放要求、テロリストとの交渉、政治家の思惑、公安の正義
、国民に対する事実の隠匿、警察組織への圧力……。これでもかというほど大規模なストーリーに、命を狙われる本多と茉莉のスリリングな逃避行が描かれる。個人的には正月SPの「聖戦」よりも、今回の方が親子のドラマとしての完成度はずっと高いと思います。
今シーズン、視聴率20%台を連続で出しているのもよくわかる。レギュラー放送の刑事ものの連続ドラマでここまでやっちゃうんだもん。そりゃあ、みんな見るって。
特に今回、これもう映画だろ。
過去のエピソードを下敷きにして後日談をつくるのは海外ドラマ同様。この手法ができるのがシーズン制を導入している『相棒』の強み。最近では「ウルトラシリーズ」も『スタートレック』ばりの編算をしてみせ頑張っていますが、日本のドラマでこういった作品は極めて珍しく、海外ドラマ好きには堪りません。
『相棒』ファン的には、なんといっても瀬戸内さんの再登場が嬉しいですね。特命係の良き理解者も Season 7 で逮捕されてしまいこのままフェードアウトかと思いきや、獄中の囚人としてまた出番がある。かつて懇意にしていた仲だけあって薫ちゃんのサルウィン行きも話題に上り、歓喜もの。
雛ちゃんはさすがにそこまで深入ってはこなかったけれど、それでも神戸君を見て「そちらは?」と訊ねるあたり製作陣の配慮が行き届いて良かったです。
考えてみれば今回は神戸君にとっては初めての国家レベルの大事件。警視庁籠城や警察庁からの庁内スパイ、顔認証システムによる監視社会の構築など大掛かりなものはあれど、直接国政に関わってくるような事件はこれが初です。結婚式の引き出物から果ては日本の国まで、何でもござれの特命係の洗礼をようやくここで受けることになりました。たぶん特命係という部署の特殊性、すごさを改めて感じたことでしょう。
ここらを心得ている伊丹が情報をリークし、自分たちでは動けない案件を右京さんたちに解決させるのも胸熱展開。
そしてここに来て、ようやく劇中にて小野田官房長が落命していたことが明言されます。そこまでの流れも比較的上手く作られていたので、何も情報を仕入れずに見ていた人はなかなか衝撃的だったのでは? や、CMでだいたいネタバレしてるからある程度の覚悟できてはいたかも。
今回のサブタイトル「亡霊」は小野田さんの遺志のことでもあり、戸籍を失った本多篤人のことでもある。ダブルミーニングになっています。
Season 9 の最終話にこれを持ってきたのは『劇場版Ⅱ』の番宣の意図も勿論あるのだろうけど、やっぱり小野田公顕追悼の意味合いが大きいですよね。いままでの官房長のイメージは問題の劇場版含め、飄々として食えない敵、コミカルながら時に冷徹なイメージが強かった。それがこの最終話、瀬戸内さんの回想での小野田公顕、最後の姿はなんともカッコ良い!! 恐らくこれで見納めとなるであろう最後のシーンで、万人が小野田官房長の勇姿に痺れる。
――なんとまぁ憎らしい演出じゃないですか。Season 9、そして『劇場版Ⅱ』はこのシーンのためだけにあったといって良い。
まさしく、小野田さんのための Season 9 でした。
キャラについてばかり語ってしまった気がしなくもないですが、
最後の下手な合成のヘリコプター以外は大変満足なお話でした。
シーズン全体の総括はまた後日。
まずは『相棒』スタッフ&キャストの皆様、お疲れ様です。そしてありがとうございます。
半年後の Season 10 、楽しみに待っています!!
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