2011.03/09 [Wed]
結城光流『少年陰陽師 異邦の影』
![]() | 少年陰陽師 異邦の影 (角川文庫) 結城 光流 角川書店(角川グループパブリッシング) 2011-02-25 売り上げランキング : 340113 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★☆☆
俺は大陰陽師になるんだから、お前はそれを見届けろ!
こんなところで死んだら絶対に許さない!
時は平安。13歳の昌浩は、稀代の陰陽師・安倍晴明の末の孫。素質はすばらしいはずだが、まだまだ半人前の見習い陰陽師。相棒の物の怪とともに、祖父の晴明にからかわれながら修行に励む日々である。ところがそんな中、内裏が炎上するという事件が起きた。昌浩は独自に調べをはじめるが、その背後に外つ国からやってきた妖異がかかわっていることが判明し――!?
「少年陰陽師」第1作。
原題は『少年陰陽師 異邦の影を探し出せ』というクライブ・カッスラーちっくなもので角川ビーンズ文庫より刊行。以前にやっていたアニメ版が面白かったため前々から興味があり、今回晴れて角川文庫への移植ということでこれを機に読んでみました。
中学時代は図書館で借りた妖怪の本をどっぷり読み漁り、NHKで放送された稲垣吾郎版『陰陽師』にハマり、修学旅行で行った京都では安倍晴明神社に参拝し、マイベストミステリが高田崇史『QED 式の密室』なくらいこのジャンルは好きです。
しかし本作のラスボス「窮奇」は初めて聞く名前でした。中国の妖怪といえば刑天と飛頭蛮くらいしか知らないからなぁ。昔、『ゲゲゲの鬼太郎(第三期)』の中国妖怪が攻めてくる映画を見たけれど、いまとなってはすっかり忘却の彼方。井戸仙人とチーしか覚えてません。私もまだまだのようです。
主人公、昌浩はかの有名な安倍晴明の孫。絶大なるポテンシャルをその身に秘めて人語を話す小動物の使い魔と共に退魔に乗り出す――。これって、まんま魔法少女もののフォーマットですよね。男だけど。
言葉遣い含めて決してガチガチの平安時代小説というわけではないですが、当時の社会制度や風俗等々はきちんと描写されているので、適度に意訳された平安ファンタジーとして充分楽しめました。
ところで。本シリーズのヒロインである彰子ってあの? かかし朝浩『暴れん坊少納言』でのイメージと(当然ながら)全然被らないから最初はまったく気付きませんでした。ヒロインもオリキャラにすれば良かったのに。1作目の段階で既に悲恋確定とか、泣くに泣けん……。
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