2011.02/27 [Sun]
映画『アイ・アム・レジェンド(別エンディング版)』
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★★★★★
――すまない。
予防不能、治療不能のウイルスによって汚染された地球。なぜか免疫があった軍所属の科学者ネビルは、荒廃した
ニューヨークで――あるいは世界で――ただ一人の生存者となった。必死に他の生存者を捜すネビルだったが、生存していたのはヒトではなかった。ウイルスによって変異したミュータントたちが闇に潜み、ネビルを監視していたのだ。ネビルが致命的なミスを犯すのを待ち続けるミュータントたち。過酷な状況の中、ネビルを支えているのはただひとつの希望。それは免疫のある自分の血液からウイルスを根絶する薬を作り出すこと。迫り来るミュータントとタイムリミット。地球最後の男に希望はあるのか?(2007年 アメリカ)
『アイ・アム・レジェンド』の別エンディングをようやく見られました。この作品、劇場公開やテレビ放映されているものは劇場公開版であり、BDにはセル/レンタルどちらにも、DVDはセル版2枚組のDisc2にオリジナルシナリオである別エンディング版が収録されています。
基本的な流れは劇場公開版と一緒で、ラストの7~8分がまったく異なる別エンディング版。怒涛の伏線回収と視点の転換、構図の逆転、明かされる真実……その7分でいままで語られてきた物語の持つ意味合いががらりと、180度変化してしまう。変化させてしまうんです。これがすごい。
ある面では叙述トリックともいえそうなこの大技。思い返せば、劇中の至るところに“その事実”を見抜くだけのヒントがバラ撒かれていました。にも関わらず、恐らく初見でこれを見抜けた人は皆無なんじゃないかと思います。気付かせないというよりも気付かないに近いです。普通、そんな発想出てこない。というか“常識”に捉われて無意識のうちに思考の外に追いやっている部分ですよね。
ネビル自身、まさか自分がそんなことになっているとは予想だにしていなかった。これは私の中でのベストミステリ、高田崇史『QED 式の密室』に匹敵するレベルの衝撃といって良いです。
視聴後、『アイ・アム・レジェンド』のタイトルがすごく重く、心にのしかかってきます。モンスターパニックを見慣れているからこそ、余計にそう感じる。これは『ジョーズ』であり、『トレマーズ』であり、『エイリアン』なんです。それを理解したとき、自分の見ている“世界”というものがまったく変わってしまう。
劇場公開版を見て落胆した人、駄作の烙印を押した人も騙されたと思ってもう一度BDを借りてきてほしい。これを見逃すのは本当に勿体ない。稀に見る傑作です。
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