2011.02/26 [Sat]
映画『モスラ』
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★★★★☆
しかしその人たちの口から、ひと言だって小美人のことが漏れました?
みんな人間としてですよ、そっとしておいた方が良いと思ってるからなんですよ
南洋のインファント島に座礁した第二玄洋丸の乗員は、無人と思われたその島に、原住民が生存していることを伝えた。インファント島で核実験を行なったロリシカ共和国は、実態を調べるため、島に調査隊を派遣する。調査隊の一行は、そこで巨大な卵と卵に仕える妖精のような小さな女性“小美人”を発見する。隊長のネルソンは小美人を連れ帰り、見せ物にして売り出すことを画策するが……。 (1961年 日本)
1961年公開の初代『モスラ』です。「平成モスラ」三部作や「ゴジラ」シリーズでモスラが登場する作品は『南海の大決闘』以外すべて鑑賞済み。しかしながら、その原点たる映画には未だに手を出さずに現在まできてしまいました。
本作では連れ去られたインファント島の小美人を追ってモスラが日本に上陸。さらには逃亡するネルソンが逃げ帰ったロリシカ共和国にまで飛来し、人々を恐怖のどん底に叩き落とす。
昨今ではモスラといえば正義の怪獣、人間の味方で“護るために戦う”のイメージが定着していますが、初登場時はそうでもなかったようです。モスラの目的はあくまでも小美人の奪還にあり、それを阻むものは容赦なし。街を破壊し人を潰そうが、そんなものには目もくれずただ突き進むのみ。小美人をして、モスラには感情はなく本能のみで動いていると言わせるくらい。
危ういところを善ちゃんが救ったとはいえ、劇中で人間の赤ちゃんまでも巻き添いにすることを厭わない姿にはなかなか衝撃を受けました。モスラが単なる怪獣に過ぎないことが強調されているシーンでしょう。
と、同時に。ネルソンとその部下たちが小美人捕獲のためにインファント島民を射殺していくばかりか、金儲けのネタを手放すまいとしてモスラ来襲の報を受けてもあくまでも関係ないと言い張る様もまた、目的のためには他人の迷惑を顧みないという点でモスラと人間の行動がまったく同じである、と読み取ることも充分に可能。
どちらが悪だとか人間のエゴだのを通り越して、人間も本能のまま生きる怪獣=生物と何ら変わらないじゃないか、と暗に示されている気さえします。
モスラの造形ははっきり言ってキモいです。以後の幼虫モスラは過度におもちゃっぽかったり、つるんとしていて人工の造形物然としたビジュアルなのに対し、本作の幼虫は本当にそれが生きているかのような生物感。動きもいちいち芋虫っぽくて非常にリアリティがあります。成虫も適度に顔の均衡が崩れているのがより本物の蛾らしさを引き立たせる。後年はどうしてああなっちゃったんだろう?
今回視聴したDVDではデジタルリマスターが掛けられていて、50年も昔の映画とは思えないほどの高画質で驚きました。
映像の古さを理由に手に取っていない人がいるのであれば、まったくの杞憂ですよ!
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