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積読本は積読け!!

300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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伊坂幸太郎『砂漠』

砂漠 (新潮文庫)砂漠 (新潮文庫)
伊坂 幸太郎

新潮社 2010-06-29
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★★★☆☆
同じクラスに東西南北の名前を名字に持つ人間がね、集まっていたんですよ。
これにね、何か意味がなければおかしいじゃないですか。

入学した大学で出会った5人の男女。ボウリング、合コン、麻雀、通り魔犯との遭遇、捨てられた犬の救出、超能力対決…。共に経験した出来事や事件が、互いの絆を深め、それぞれ成長させてゆく。自らの未熟さに悩み、過剰さを持て余し、それでも何かを求めて手探りで先へ進もうとする青春時代。二度とない季節の光と闇をパンクロックのビートにのせて描く、爽快感溢れる長編小説。


 レオさんに薦められて読んでみました。
 はじめの方で為される麻雀のルール説明に、ド素人の私は付いていけずに思考停止。そこからかよー
 てか、小説の本文に麻雀牌とかそのまま挿入できるんですね。

 一般に青春小説というと、きらきらで心躍る、読者が憧れるような体験が綴られているのが常です。が、本作の登場人物たちは何の変哲もない日常を無為に消化していく。物事を一歩退いた目線で見る鳥瞰型を語り部に据えたこともあって、若干ドライな印象を受けます。まぁそれが学生のリアルな姿だったりするのですけど。
 でも一見、無味乾燥でなあなあにこなしているだけの毎日も、実際には大きなものを得ている大切な時間なのです。なんとなく縁あってつるむようになった友人たちと触れ合う中で、互いに影響し影響され合い、いつの間にか自分自身も変わってゆく。
 そういう意味では、そこで出逢ったのはたまたまで特別でも衝撃的でもないけれど、見方を変えればそれも運命。読者各人の「普通だった」学生生活も、この5人のように本当は奇跡的な巡り合いで、だらだらとした日々も人生の糧になっていたんだよ、というお話でした。
 ストレートに大学生万歳! 青春サイコー!!と語らず、やや斜に構えて回りくどいやり口で称賛するのがいかにも現代っ子的です。

 作中では大人の社会を砂漠に喩えて学生の時間はそこから守られたオアシスである、と語られていますが、私はタイトルの『砂漠』は大学生活そのものにも掛かっていると思います。取り立てて大きな出来事も起こらない、退屈げな4年間――灰色の大学生活=砂漠。目の前のものを目いっぱい楽しんで生きる近視眼型の人間以外は、案外そんなふうに感じていた人も多いのではないでしょうか。
 それがいざ“外”に出てみると、いままでいた場所こそがオアシスだったと気付く。そこで初めて「砂漠」→「オアシス」と変換することも可能になるわけで。自分が現在置かれている環境というのは、案外見えないものです。
 だから、本作は読み手が鳥瞰型の学生の場合、タイトルもまた違った捉え方をできるようになっている気がします。


余談。
たぶんミステリ的仕掛けになっていると思しき四季の件は、あんまり上手く極まってないんじゃ?
かなりわかり難いっ!!


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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