2011.01/13 [Thu]
ほしおさなえ『空き家課まぼろし譚』
![]() | 空き家課まぼろし譚 (講談社ノベルス) ほしお さなえ くまおり 純 講談社 2011-01-06 売り上げランキング : 208886 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★★☆
生きようとして死んでしまうことはある。死のうとして生き続けてしまうことも。
なんのせいとか、そういうことじゃない
ベニスのように美しい水上都市、海市。その一角にある風変わりな組織“海市協会空き家課”。誰も住まなくなった建物に再び命を吹き込むのがこの部署の仕事だ。そこに勤務する間宮明はちょっと気弱な25歳。仕事で扱う古い建物から古いアルバムをくすね、蒐集する悪癖がある。ある日、明の仕事に課長の娘・三上汀がついてくることに。そこで、汀の能力が目覚め……。次々に現れる空き家の謎を解く事は出来るのか。
「ファンタジック・ミステリー」「少女幻視探偵」の謳い文句でレーベルも講談社ノベルス、メフィストに連載ということでガチガチの本格ミステリなのかと思っていたら、読んでびっくり普通に現代ファンタジーのヒーリング小説。
しかし、開けっ放しになった物語を閉じることで誰かを救うのが探偵の役割だとすれば、三上汀は紛れもなく探偵でした。ミステリとは少し方向性が違うけれど、これはこれで買って良かったです。
汀ちゃんが自身の“撮られた場所でその写真に触れると、撮影前後の数分が幻像として再現される”能力を使ったり使わなかったりで辿り着く“答え”が、その写真に関係する人々の、心の中で止まってしまった時間を明日へと進めてくれる。そんなお話です。
全4章のうち前半2作はそこまで胸に迫るものはなかったのですが、後半の2作はかなりぐっときます。3章目の「オルガン奏者」は名篇。やりきれないのに救いがある――でも、救いが残されていることが余計にやきれなさを増幅させ、募らせる。この感情をどう伝えたら良いのか、ちょっと私の語彙力では表現できません。ただ、こういうのを切ないとか、哀しいというんでしょうね。そして寂しい、とも。
キャラクターや海市など諸々の設定も好み。ヴェネツィア風の街はわが愛するアニメ『ARIA』の影響で大好きだし。それ以前に、汀ちゃんが小生意気な小学五年生な時点で私は完全に虜でしたね。いや、ロリコンではないですけど。小学生主体の物語はノスタルジーと慈しみの感情が両立するんです、自分の中で。『ジュブナイル』然り『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』然り『虹色ほたる』然り……。
それに甘栗君のような、主人公が小さな女の子に振り回されるストーリーが個人的に相当のウィークポイントなので。
やっぱりロリk(ry
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若々しい夢を追い続ける方ですから
年を取ると、小学生のころにトリップしたみたいに感じて、
さわやかさ、みたいな感じが。
また最近作品出されましたね。
夏草のフーガ、だったかな。
そっちも読んでみようと、ネットで彷徨ってたんですけど、
ほしおさなえさんって、私生活の苦悩が増えると、仕事で
花開いていくみたいなんです。
http://www.birthday-energy.co.jp/ido_syukusaijitu.htm
しかも、若々しい夢を追い続けるらしいんですね~。
生年月日でその人を観るというちょっと違う視点なので
興味持ったんですけど、面白いもんです。
他の作家さんも取り上げられていたりして。
夏草のフーガ、図書館に入ってないかな。