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積読本は積読け!!

300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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仁木悦子『林の中の家 仁木兄妹の事件簿』

林の中の家 仁木兄妹の事件簿 (ポプラ文庫ピュアフル)林の中の家 仁木兄妹の事件簿 (ポプラ文庫ピュアフル)
仁木悦子

ポプラ社 2010-09-07
売り上げランキング : 386242

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★★★★☆
そんなもの勉強しなくたって、女はたいてい生まれつき心理学者よ。
ことに恋人とだんなさまに関してはね。

シャボテン・マニアの豪邸で留守を預かることになった仁木兄妹。深夜の電話で呼び出された二人は、有名劇作家の自宅で起きた殺人事件に巻き込まれ――。緻密に張り巡らされた伏線と鮮やかな推理、マイペースな植物学者の兄と、好奇心旺盛な妹の凸凹コンビが醸しだすユーモラスな雰囲気が、絶妙にブレンドされた傑作長編ミステリ。


「仁木兄妹の事件簿」第2作。
 シリーズ復刊3冊目にして装画担当のイラストレーターが変更になってしまいました。全作並べた際の統一性を考えると、あまり変えてほしくはなかったというのが本音です。それを除けば大満足。著者自身が本作『林の中の家』について語ったエッセイまで併録されており、単なる復刻版以上に価値ある本となっています。

 個人的には既に刊行されている『私の大好きな探偵』『猫は知っていた』の2作よりも圧倒的に面白かった。推理部分のロジカルさが群を抜いていました。特に電話の謎と誘拐犯の正体についてのロジック構築が鮮やかで、解説でも触れられているとおり時代を経たことが良い具合に読者の先入観に作用し、発表当時よりもさらに難易度が上がっているのも興味深いところ。熟成されて深みが増した、って感じです。
 伏線の張り方も非常に丁寧。しかもそれらの伏線は劇中の解決パートですべてが指摘されるわけではなく、読み終わってから思い返してみると「あれ、ここもじゃない?」と読者が自ら気付く余地が残されています。そのため、噛めば噛むほど美味しくなってくる。これはなかなか豪胆というか、度量がなければそうそうできることではありません。

ハイレベルでありつつも親しみやすい。「トリックよりロジック」派の人は迷わず買いです。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

当ブログはリンクフリーです。
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2014年に読んだ小説の       (暫定)ベスト5はこれ!!

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2012年に読んだ小説の        ベスト5はこれ!!

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2011年に読んだ小説の          ベスト5はこれ!!

1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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