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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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映画『容疑者Xの献身』

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★★★★☆
天才物理学者・湯川教授が生涯で唯一天才と認めた男・天才数学者の石神哲哉は、娘と二人で暮らす隣人・花岡靖子に淡い思いを抱いている。ある日、靖子の元夫・富樫が死体となって発見された。離婚後も何かと靖子たちに付きまとい、どこへ引っ越しても現れては暴力を振るっていた富樫。元妻である靖子が容疑者として捜査線上に上がるが、彼女には完璧なアリバイが存在していた……。 (2008年 日本)


ドラマ『ガリレオ』劇場版。原作既読。
地上波放送があったので視聴しました。ちなみにドラマ版は1話でリタイア。
自他ともに認めるアンチ東野圭吾の癖して、『新参者』『赤い指』『探偵倶楽部』と意外と映像作品では見ていたりします。

 本作はあの容疑者X論争の張本人(?)『容疑者Xの献身』の映画版。例のトリックをどう表現するのかが気になって見てみることにしました。
 原作の感想にもさんざん書いたのですけれど、相変わらず石神はストーカーにしか思えないし、靖子の自分勝手な振る舞いにもイライラが募ります。純愛といった観点からは微塵の感動も得られなかったのですが、ことミステリ部分に関しては感心させられるほどの出来でした。しかも映像となったことで小説で感じた問題点の一部も解消されており、本格ミステリの映像化としてはまず間違いなく成功作です。

(以下、ネタバレあり)


 この作品で最も難しいのが“叙述トリックを映像化する”ことだと思うんです。しかしこれを、殺害日→死体発見の場面転換でいともあっさりと、それもごく自然な流れでやってのける。話のタネを知っている身としてはそれだけで「おおぅ!!」と唸ってしまいます。
 下手に地の文が付いていないので、原作で生じた犯行以前の日にちへの言及の有無も殆ど気にならない。じっくり読ませずに話がとんとん進んでゆく映像だからこその利点ですね。

 湯川先生と石神が川沿いを歩くその背景にホームレスたちの姿を何気なく映すのも伏線の張り方としては上々だったのですが、ふたりがフレームアウトした後も無意味なカメラワークで“被害者”を長映ししてしまったのはミスでしょう。山荘での歯車云々の会話でホームレスを引き合いに出したところ(あまつさえ再現映像まで)も若干アウト。勘の良い観客ならこのあたりで気付いてしまう。わかりやくしすぎです。
 伏線に関してはもうひとつ。内海の「同時刻に同じ人間がふたりいたとしか~」(台詞うろ覚え)が容疑者のことを指しているように思えて、視点を被害者にシフトさせてみると実は今回の事件の核心を突いていたというのも「実に面白い」

 キャストの堤さんは他作品で見ると結構濃い感じがするのですが、今回は別人のような抑え気味の演技が見事で驚きました。ただ、そうは言ってもやっぱり見た目が堤真一なので、まったく気配を消した隣人役にはちょっと違和感が……。そう思うと有名俳優を使うのも良し悪しな気がします。
 松雪さんもいつもながら疲れた役だったので男の人と一緒にいても幸せそう、嬉しそうに見えないのがなんとも。
 対して美里ちゃんは良かった。靖子さんに石神さんに嫌われちゃうよ、と言うあたりはいままで交流の場面を見せてこなかったにも関わらず石神に対して信頼を寄せ、慕っているのがわかる本作イチのお気に入りシーンでした。


んで。登山のシーンは本当に必要なのか??
無駄に大きなスケール感が物語にそぐわないような。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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