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映画『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』

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★★★☆☆
突如、謎の敵から攻撃を受けたM78星雲“光の国”。辛くも窮地は逃れたものの、敵の正体は依然として不明。唯一判っているのはそれが別の宇宙から来たということのみ。しかし全ウルトラ戦士の力を持ってしても別の宇宙には1人送るのがやっとだった。任務に単身志願したゼロは未知の宇宙空間へと旅立ち、惑星アヌーに辿り着く。そこでゼロは、巨大なロボット兵団に蹂躙される人々を救うため瀕死の重傷を負った青年ラン、その弟ナオと出会う。命を賭して弟を守るランの勇気に共感したゼロは、瀕死の彼と一体化、人間体としてのランの姿を借りることでその命を救う。やがて、惑星エスメラルダの王女エメラナ姫と出会い、軍団の黒幕が“銀河皇帝カイザーベリアル”であることを知らされる。ウルトラ戦士たちによって倒された邪悪なウルトラマンベリアルが復活、強大な銀河帝国を築いて宇宙制覇へ乗り出していたのだ。ランと一心同体となったゼロは、カイザーベリアルの野望を砕くため、ナオ、エメラナと共に、宇宙船ジャンバードで大宇宙へと飛び立つ。ベリアル銀河帝国との戦いに挑むウルトラマンゼロと仲間たちを待ち受けるものとは……? (2010年 日本)


 2011年一発目の映画感想は公開中のウルトラシリーズ最新作『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』。世の中には自分の支援がダイレクトに作品の存続に関わるものがあって、それが円谷プロと『スター・ウォーズ』小説なんです。超零細、細々と続いている企画なので応援しなきゃ未来はない。そんな理由もあって結局観てきてしまいました。

 基本的に(ここ、傍点ね)素晴らしい出来でした。
 前作『ウルトラ銀河伝説』が光の国を舞台にした本格アクションで魅せ、それまでのウルトラシリーズの在り様を覆した作品だったので、正直これ以上の進化はないだろうと思っていました。しかしそれは認識が甘かったと言わざるを得ない。
 前回がアクションとしての「ウルトラマン」だとしたら、今回はスペースオペラとしての「ウルトラマン」。この作品でウルトラシリーズは更なる領域、新たなるステージに踏み出した――いや、乗り越えたとさえ言って良い。はっきり言って、このレベルまできちゃうともうテレビシリーズは作れないんじゃないか、と逆に心配になってしまう(スケール的な意味で)

 本作で戦いの舞台となるのはわれわれの世界とはまた別の宇宙。光の国の全エネルギーを集結させてもゼロひとりしか送れないというのだから、その“枠”を越えるのがいかに大変なことであるかが窺い知れるというもの。
 ここで今回から導入されたのが多次元宇宙――マルチバース理論。マルチバースのレベル1は望遠鏡では観測できないわれわれの宇宙とそっくりな宇宙のことだそうで、さらにその上位構造としてそんな並行宇宙が泡状になって連なっているレベル2マルチバースが存在し、本作における“別の宇宙”はこのレベル2に相当するとのこと。映画ではこのレベル2の映像が本当に美しく、理論云々を抜きにして圧倒され、目で見て納得させられます。
 また、マルチバースにはレベル3、レベル4の概念もあり、レベル3は量子レベルで宇宙が分岐し、すぐ隣に現実として別の自分が存在しているという。これは理解しやすいですね。いわゆるパラレル設定は全部このレベル3に該当します。『スター・トレック』でよく使われているのも、これ。ウルトラシリーズでいえば『Q』~『メビウス』のM78世界、『ティガ』~『ダイナ』の世界、『ガイア』の世界 etc……。従来のウルトラシリーズは地球を舞台にして色々な世界観の世界を描いてきましたが、それらすべてがレベル3のマルチバース。『ウルトラギャラクシー』の根底設定であるギャラクシークライシス事件や『大決戦!超ウルトラ8兄弟』、『ウルトラマンダイナ』最終回はレベル3マルチバースが一時的に交わった例といえるでしょう。

 ウルトラシリーズでのマルチバース理論導入が革新的だったのは、この設定によってすべてのシリーズが矛盾なく並列させることが可能となり、どの出来事も確かに“あったこと”にできるという点に尽きます。規模が規模だけにあまり安売りはできないですが、この垣根を壊す怪獣さえ登場させれば世界観の違うヒーローたちを合理的に同じ作品内で共演させることも充分に可能になります。『メビウス』と『平成セブン』、両方とも“正史”にできちゃうんです。
 こうして確立された「ウルトラシリーズにおけるマルチバース」設定の意義を、よりわかりやすいカタチで観客に伝えてくれるのが本作最大のサプライズである、あのキャラクターの登場でした。

(以下、ネタバレあり)


 監督の話によると今作で描かれている宇宙は“神話の世界”らしいです。別宇宙を生きる彼らにとってはレギオノイドやミラーナイト、グレンファイヤーといった怪獣サイズの種族もそう珍しいものではなく、普通にそこにいて、接しているものたち。怪獣や巨大ヒーローの類が線を引いた異物ではなく、人間たちと同等に人格が認められ、文明の中に生きづいている。そのため人間の力でもレギオノイドの一体くらい知恵を絞れば余裕で倒せます。ここが『ウルトラ銀河伝説』以前のウルトラシリーズとまったく違うところ。
 神話というフレーズに相応しく、全体に『スター・ウォーズ』を意識した世界観が広がっているのもポイント。惑星アヌーに広がるはタトゥイーンさながらの光景で、映像は『ターミネーター4』さながらのややざらついた質感のフィルム、エスメラルダを襲撃する要塞マレブランデス(グリーヴァス将軍の艦の名前に似てる!)、冒頭のミラーナイトVSレギオノイド戦での光量を抑えた画。この時点で既に日本SF映画史上最高水準の本気度に達していると思います。
 時空を越える能力を所持する唯一のウルトラマン、ウルトラマンノアが伝説の巨人として祀られているのも、まさに神話の中の存在といった点に適ったベストチョイスで胸が熱くなりました。シリーズ中最も異色である『ウルトラマンネクサス』と本家のM78が映像上で繋がる日が来るなんて、いったい誰が予期できました?

 しかも一度死んだゼロがノアからウルティメイトイージスを授かり、命を吹き返すということはつまり、ゼロもまたノアのデュナミストであるのと同義じゃないですか。ウルトラ一族にレイオニクスがいるんだったらデュナミストもいたって良いじゃない、と。ゼロはこの作品で“ウルトラマン”の絆の光を受け継いだウルトラ戦士になったのです。
 『メビウス』以降、ウルトラマンの神秘性は薄れ、それぞれの人格付けに戸惑うファンも多かったようですが、ウルトラマンはそれぞれにキャラクターを得たことでわれわれと同じ土台に乗り(『メビウス』で描かれたテーマのひとつです)、かつて人間=一市民が超人=ウルトラマンの力を享けたのと同様、ウルトラマン=一市民がウルトラマン=超人の恩恵に与かるところにまで来た。
 『ウルトラギャラクシー』以後の世界においてはウルトラマンと人類は銀河の住人としてまったく対等なものとして描かれながら、一方でその神秘性も揺らぐことなく両立させている。すごい、すごいよ、ウルトラシリーズ!!

 ただひとつの問題は「ウルトラマン」があくまでも子供と既存ファンのみをターゲットに作られていることです。日本人は『スパイダーマン』のようなアメコミヒーロー特撮は歓迎しても国産ヒーローは子供用と切って捨てる人が殆どですからね。これは仕方ないのかもしれない。
 今回で言うなら、盛り上がったテンションをいっきに萎えさせるナレーションの多用、ウルトラゼロブレスレットの使用制限と別宇宙へ渡る行為の関連性(補助パワーとして使い切ったら戻れないの?)、そもそもベリアルはどうやって別の宇宙へ行ったのかという疑問、ノアの力を授かったことで元の宇宙に戻ることも容易になったのか等、一般の大人が見ても満足できる域に達していたとはどうしても思えないのです。どアップで喋り続けるウルトラ戦士も演出的に×。テンポも、良いというよりも単に尺足らずで省略しているだけな感じがします。
 これだけのレベルの作品が作れるのだから、もっと上を目指して良いはず。むしろ、円谷の経営状態からしたら積極的に一般層へのアピールをしていかないと本気で危ないんですよ。それにはまず大人の観賞に耐え得る作劇クオリティを。だからこそこういった細かな点まできちんと練って作ってほしい。そういった部分でマイナスに見られのは非常に勿体ないです。

 ただし一部で不評のウルトラシリーズお馴染みの“奇跡の力”的展開が本作でも為されたことについては、私はOKです。なぜなら今回、終盤の鍵を握っているのはあのウルトラマンノア。思い出してください『ウルトラマンネクサス』での溝呂木の最期を。“絆は光”の『ネクサス』のストーリーを踏襲し、ノアを呼び覚ますのであればこの展開は必然以上に必然。過去のそれ系な作品はともかく、本作においては適切なシナリオだったと思います。


あ、これを言わずには終われないですよね。

姫さま 可愛ゆす 美しす 
(つω<〃) ゚.:。+゚ はぅぅう~。。。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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