2010.12/27 [Mon]
冲方丁『ストーム・ブリング・ワールド(1)』
![]() | ストーム・ブリング・ワールド1(MF文庫ダ・ヴィンチ) 冲方 丁 山本 ヤマト メディアファクトリー 2009-08-21 売り上げランキング : 76095 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★☆☆
創造の女神カルドラが手にしていた「創造の書」。神々の争いで砕け散った断片は「カルド」と呼ばれ、それに秘められた力を駆使できる者を「セプター」と呼んだ。少女アーティは父に愛されたい一心で嘘をつきセプター候補として神殿で学んでいた。そんな彼女のもとに転学生の少年リェロンがやってきたとき、運命の歯車が大きく動き出す!
「ストーム・ブリング・ワールド」第1作――と、いうより実質上巻?
ファンタジーは滅多に読まないのですが、本屋大賞の受賞でなんだか冲方丁が流行っていたのと表紙イラストに惹かれて購入。山本ヤマトの絵、好きなんです。そうこう積読いているうちに妹が先に読んで大ハマりしたのでそのままそっちで揃えて貰うことにしました。
それはともかく第1巻。原案のゲームについてはまったく知らないので純粋に小説として通読。かつて国を滅ぼされた名家の少年と運命のカギを握る少女が出逢い、変わってゆくボーイ・ミーツ・ガールです。
ヒロインであるアーティの気丈な性格に物語内で説得力を持たせているので、ツンデレ嫌いの私でも大丈夫! 脆さを押し込めて精一杯頑張るアーティをつい親心的視線で見守っている気分になります。
もうひとりの主人公リェロンも自分を“強く”持たなくてはならなかった点ではアーティと同じ。肉親の死、平和の崩壊という極限を経験しただけあって、こちらの方はどこか感情に欠落した部分があります。似たような立場にありながらまったく逆の決意を胸に生きるふたりが、互いの心を少しずつ温めていくのが今巻の核です。
最終的な着地点は次巻に持ち越しなのですけれど、1巻の終わり方がちょっと予想だにしなかった展開で。ここで引きはすごいよなぁ。言うまでもなく何かの一手だとは思うのですが……。
スポンサーサイト
Comment
Comment_form