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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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太田忠司『月光亭事件』

月光亭事件 (創元推理文庫)月光亭事件 (創元推理文庫)
太田 忠司 竹岡 美穂

東京創元社 2009-06-25
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★★★☆☆
引退した名探偵・石神法全の後を継いで探偵事務所を営む野上英太郎の元に、ある日猫を連れた少年が訪れる。卓越した推理力を持つその少年・狩野俊介は、石神との出会いを契機に探偵を志していた。野上は彼を助手として、直後に舞い込んだ依頼――大病院の院長の妻に取り入り、一家の館に居座る奇妙な宗教家の正体を暴くこと――に乗り出すが。


「少年探偵・狩野俊介」第1作。
 古き良き新本格の香りがする探偵小説――って、まほろんのときにも似たようなこと言ってますが、最近のミステリ作品を見ていると既に新本格の作風は廃れてきているのかなぁと感じます。といっても私は小学生時代に乱歩の「少年探偵」シリーズ」を読み漁り、それからはやみねかおるの「夢水清志郎」、西尾維新の「戯言」シリーズで本格的にミステリに興味を持って→メフィスト賞作家に手を出し始める、という歴史も何もない浅々な人間なわけですけど。たとえば本年度の本ミスで高い評価を得た円居挽『丸太町ルヴォワール』梓崎優『叫びと祈り』は誰がどう見たって本格ミステリ。しかしそれが新本格かと訊かれたら間違いなく否でしょう。本格ミステリ界最後の砦たる古野まほろの諸作品も新本格とはまた違ったもので、現在のミステリ小説たちは既に次なるステージに立っているように思います。

 昨年、東京創元社から復刊された本作『月光亭事件』は、まさに新本格まっ盛りの時代に書かれた小説です。そんなバカなと言いたくなるような大掛かりなトリックも“いかにも”といった風情。
 何よりも特徴的なのは小学生にして探偵の俊介周りの設定。心に傷を持ちながら、ごくごく素直な少年。洞察力と推理力は大人も顔負けのものがあり、常に愛猫のジャンヌを連れている。小説の中の“特殊な”名探偵像を体現したようなキャラクターです。
 その一方で太田忠司の描く探偵は意外なほどリアルに即しています。『甘栗と金貨とエルム』の甘栗晃然り、本作登場の野上英太郎然り。このシリーズで語り部を務める野上さんは単なるワトスン役ではありません。探偵事務所の所長として依頼を受け、調査に赴き、場合によっては駆け引きで相手の裡を探る。俊介は謎を解き、野上さんが事件を“解決”まで導く。
 虚構を具現化した狩野俊介と現実の延長線上にある野上英太郎。このふたりは本質的に相反する存在でありながら、物語の終結にはどちらが欠けても成り立たない。このような方式はなかなか珍しく、絶妙な組み合わせでした。勿論、キャラ的な面においても。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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2014年に読んだ小説の       (暫定)ベスト5はこれ!!

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2012年に読んだ小説の        ベスト5はこれ!!

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2011年に読んだ小説の          ベスト5はこれ!!

1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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