2010.12/23 [Thu]
相棒 Season 9 第9話「予兆」
★★★☆☆
2010年夏――。朝帰りの途中、尊が女性の遺体を発見した。遺体に「妙なものを感じた」という尊に右京も動き出す。被害者が警察庁長官官房付き総務課に勤務する絵利子と判明。右京と尊は小野田官房長に連絡するがあいにく不在。やはり敵対する警視庁の捜査は拒否……!? 絵利子の所持品から警視庁警務部に勤務する藤崎の指紋が検出された。昨年、警視総監の田丸を媒酌人に結婚した超エリート藤崎が、警察庁の絵利子と不倫しているのか? さらに右京らの捜査を「面白い」と見守っていた金子警察庁長官から右京と尊に謎の呼び出しが……。背景に見え隠れする警視庁と警察庁の対立。事態は予想外の急展開を見せつつ、やがて発生する衝撃の大事件の“予兆”となっていく。
これは良い入門編。時系列的には Season 8 と Season 9 の間のエピソードにあたり、この事件の直後に『劇場版Ⅱ』の事件が起きるという設定。なるほど「運命の女性」での陣川君の台詞はこういうことだったのか。最後にはちゃっかりと顔出しまでしていてすっかり『相棒』のお馴染みの顔です。
事件自体は真相こそ大きなものではありませんでしたが、そこがまた『相棒』の良い部分。国家規模の犯罪劇がある一方で、すぐ身近にあるかもしれない犯罪とそこに至ってしまった人間の心を描く。今回でいうなら「浮気よりもっと酷い」の言葉が印象的でした。ご主人はどうかはわからないけれど、相手の彼女の表情は“浮気”ではなく“本気”だった。その部分で、抑えられない感情の奔流に呑まれてしまったわけです。死体にメイクを施した理由からもその激情が窺えます。
そして今回の事件の背後にあったのが警察庁の守秘義務漏洩。警視庁の人間がそれを手にしたがる裏には警察庁と警視庁の対立構造が見え隠れします。ここについては前シーズンの「SPY」が改めて伏線として蘇ってくる。警察庁から警視庁に庁内Sが送り込まれてきた理由がこれ――田丸警視総監と金子警察庁長官の相容れない真逆の考えに基づくものだったのでした。勿論、これらのことは後から考え足された事実ですが、ミステリにおいてはこじつけ能力や辻褄合わせの巧みさが意外と重要だったりするんです。勝てば官軍!ではないですけど、私の中で小説ベスト10の1冊に数えられる『霧舎巧傑作短編集』はまさしくその妙技が生きた作品。もともとは伏線として作られていないものを伏線として組み込む、という話は確か『『相棒』10周年メモリアルBOOK 杉下右京10years』のインタビューで水谷さんも言っていたような。
劇中での神戸君の使い方も理想的。そもそも神戸君は特命に入ってまだ間もない(っていっても既に2シーズン目ですけど)新参者の立場なので、警視庁特命係についてすべてを知っているわけではないんですよ。なので彼が小野田さんと右京さんの関係を知りたがるのは当然であり、その延長線上で特命係の成り立ちが語られるのもまた必然。いわば彼は“新しい視聴者”と同じ目線の人間なのです。
諸設定の説明役、説明させられ役としてはベストな存在。私が神戸尊というキャラクターに求めていた“語り部” “進行役”としての役割が劇中で遺憾なく発揮されていたので、今日の放送はもうそれだけでも満足でした。懐かしい映像も見られたし。
――で、次回は恒例元日スペシャル。
その前に当然、劇場版を見に行かなきゃですよね。
公開時期が被る『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』とどちらを観るか散々悩んだけれど
やっぱり『相棒』にしよう!
大体のネタバレは網羅した『ウルトラマンゼロ』はDVD発売まで我慢することにします。血の涙を流して。
2010年夏――。朝帰りの途中、尊が女性の遺体を発見した。遺体に「妙なものを感じた」という尊に右京も動き出す。被害者が警察庁長官官房付き総務課に勤務する絵利子と判明。右京と尊は小野田官房長に連絡するがあいにく不在。やはり敵対する警視庁の捜査は拒否……!? 絵利子の所持品から警視庁警務部に勤務する藤崎の指紋が検出された。昨年、警視総監の田丸を媒酌人に結婚した超エリート藤崎が、警察庁の絵利子と不倫しているのか? さらに右京らの捜査を「面白い」と見守っていた金子警察庁長官から右京と尊に謎の呼び出しが……。背景に見え隠れする警視庁と警察庁の対立。事態は予想外の急展開を見せつつ、やがて発生する衝撃の大事件の“予兆”となっていく。
これは良い入門編。時系列的には Season 8 と Season 9 の間のエピソードにあたり、この事件の直後に『劇場版Ⅱ』の事件が起きるという設定。なるほど「運命の女性」での陣川君の台詞はこういうことだったのか。最後にはちゃっかりと顔出しまでしていてすっかり『相棒』のお馴染みの顔です。
事件自体は真相こそ大きなものではありませんでしたが、そこがまた『相棒』の良い部分。国家規模の犯罪劇がある一方で、すぐ身近にあるかもしれない犯罪とそこに至ってしまった人間の心を描く。今回でいうなら「浮気よりもっと酷い」の言葉が印象的でした。ご主人はどうかはわからないけれど、相手の彼女の表情は“浮気”ではなく“本気”だった。その部分で、抑えられない感情の奔流に呑まれてしまったわけです。死体にメイクを施した理由からもその激情が窺えます。
そして今回の事件の背後にあったのが警察庁の守秘義務漏洩。警視庁の人間がそれを手にしたがる裏には警察庁と警視庁の対立構造が見え隠れします。ここについては前シーズンの「SPY」が改めて伏線として蘇ってくる。警察庁から警視庁に庁内Sが送り込まれてきた理由がこれ――田丸警視総監と金子警察庁長官の相容れない真逆の考えに基づくものだったのでした。勿論、これらのことは後から考え足された事実ですが、ミステリにおいてはこじつけ能力や辻褄合わせの巧みさが意外と重要だったりするんです。勝てば官軍!ではないですけど、私の中で小説ベスト10の1冊に数えられる『霧舎巧傑作短編集』はまさしくその妙技が生きた作品。もともとは伏線として作られていないものを伏線として組み込む、という話は確か『『相棒』10周年メモリアルBOOK 杉下右京10years』のインタビューで水谷さんも言っていたような。
劇中での神戸君の使い方も理想的。そもそも神戸君は特命に入ってまだ間もない(っていっても既に2シーズン目ですけど)新参者の立場なので、警視庁特命係についてすべてを知っているわけではないんですよ。なので彼が小野田さんと右京さんの関係を知りたがるのは当然であり、その延長線上で特命係の成り立ちが語られるのもまた必然。いわば彼は“新しい視聴者”と同じ目線の人間なのです。
諸設定の説明役、説明させられ役としてはベストな存在。私が神戸尊というキャラクターに求めていた“語り部” “進行役”としての役割が劇中で遺憾なく発揮されていたので、今日の放送はもうそれだけでも満足でした。懐かしい映像も見られたし。
――で、次回は恒例元日スペシャル。
その前に当然、劇場版を見に行かなきゃですよね。
公開時期が被る『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』とどちらを観るか散々悩んだけれど
やっぱり『相棒』にしよう!
大体のネタバレは網羅した『ウルトラマンゼロ』はDVD発売まで我慢することにします。血の涙を流して。
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