2010.12/21 [Tue]
ドラマ総評:『モリのアサガオ 新人刑務官と或る死刑囚「絆」の物語』
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★★★☆☆
温室育ちの新人刑務官・及川直樹は、凶悪犯ばかりの死刑囚舎房に配属される。そこにはまったく反省せず、被害者遺族を罵倒するような死刑囚もいれば、深く反省し、罪を償う日々を送る死刑囚もいた。そんな中、直樹の少年時代からのヒーロー、渡瀬満が死刑囚として拘置所に移送されてくる。直樹は、親の仇を討つため敵を斬り殺し死刑判決を受けた満と友情を築き始める。死刑を執行する側とされる側。新人刑務官と、死刑囚の禁断の友情を通じて、死刑、そして償うこと、人が人を許すことに向き合い成長していく。
……最終回駆け足だったなぁ。
というわけで久々の「ドラマ総評」。今季、『相棒』含めて3本しか連ドラ見てないのでレビューはあと1本です。
放送が始まった時期はちょうど死刑場が一般公開された直後で結構タイムリーな作品。死刑制度の是非に切り込んだ、というほどではありませんが、死刑囚や刑務官――人と人とが目の前の「死」と向き合い、接してゆく中でその心に確実に何かの変化を生じさせるといった方向性では良い作品でした。
渡瀬満と直樹の友情を全体を貫く縦糸とし、それとは別に毎回1話完結でさまざまな死刑囚の物語を織り交ぜていく。作劇方法としては医療ドラマや刑事ものに近いですね。ここらへん、長大な完全連続型ドラマを嫌う日本人の弊害で、本作の場合は各々の囚人をクローズアップさせすぎたために最後の最後で尺が足りなくなった感は否めません。最終回なんかほぼダイジェスト。
もっと時間を掛けて丁寧に、渡瀬満と直樹が友となっていく様子を描いて欲しかったです。せめて7話くらいまでには完全に“親友”と呼べるまでになっていないとメタ的な説得力に欠けると思います。
中盤で明かされる直樹の出生の秘密もフィクション的につくりすぎなような。渡瀬との関係を深めるために一度は直樹を絶望の底に叩き落とす必要があったとはいえ、あれを見せられて「いくらなんでも……」と興醒めしてしまった部分がありました。
全体としては目の付けどころも面白く、内容も楽しめただけに本筋があっさり片付けられてしまったのは少し残念です。
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