2009.04/30 [Thu]
三浦しをん『まほろ駅前多田便利軒』
![]() | まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫) 三浦 しをん 文藝春秋 2009-01-09 売り上げランキング : 3271 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★★☆
あんた、まだ気にしてるんだってね
まほろ市は東京のはずれに位置する都南西部最大の町。駅前で便利屋を営む多田啓介のもとに高校時代の同級生・行天春彦がころがりこんだ。ペットあずかりに塾の送迎、納屋の整理etc.――ありふれた依頼のはずがこのコンビにかかると何故かきな臭い状況に。
まほろさんの新刊――いえ、嘘です。“まほろ”という名前に惹かれたのはほんとですけど。
“ほっこり”という言葉がぴったりな感じの、派手ではないけれどじんわり温かさが染み入ってくるような作品。日々の積み重ねが、少しずつ心のスキマを埋めていく。完全に復活というわけにはいかないけど、失ったものの代わりに、また新しいものを得て、人は生きていく。ラストも予想はできたものの、「そう、この感じ。これが“多田便利軒”でしょう」という雰囲気で終わり、満足の一冊でした。
はじめにあらすじを読んだときは若干BL臭がしなくもないような……と思ったのですが、読んでいてそこまで気にはなりませんでした(作者がどう意図しているかはわからないけれど)
ところで。便利屋という職業がなんとも探偵っぽさを感じさせるわけで。グレーな依頼内容も含めて、広義の意味でのミステリーではあるのかな?ところどころ傍点使ってるし。
何にせよ、解説によると続きもあるらしいので気長に待とう思います。
(2009年の読書感想 補完)
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