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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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相棒 Season 9 第7話「9時から10時まで」

★★★★★

あなたは相棒をリアルタイムで目撃する!? 午後9時、たまきと映画に出かけた尊は、帰りに立ち寄ったラウンジのトイレで話し合う2人の男を見かける。席に戻ると、一人は美術商らしく高価な景徳鎮の皿を前に商談を行っており、もう一人はそれを離れて見つめている。知り合いなのに、なぜ?尊は骨董マニアを装い、客の許しを得て商談に割り込んでいく。そのころ右京は殺人事件が発生した古美術店に。店主らしい被害者の口からは2000万円もする景徳鎮の皿の納品書が。右京が現場を調べると、次々と奇妙な事実が浮かび上がり……。


 劇中時間と現実の時間をリンクさせ、12月8日の午後9時から同10時までの出来事を描いた意欲作。その狙いが成功していたかというと微妙なところで、リアルタイム進行にする必然性は薄く、『24 -TWENTY FOUR-』のようにメタ的な時刻挿入がないため一見その構造がわかり難い(アナログ時計というのが、また……)のも難点です。
 しかし姿勢は買います。こういうの大好きです。長くやっているドラマなんだから、もっともっと色々な手法を試してくれて良いと思う。POVとか、白黒とか、今回あったような神戸君を主としての謎解き場面みたいな演出とか。

(以下、ネタバレあり)

 けれど今回の話で特筆すべきは犯人側のドラマ。これ、『相棒』史上初の犯人サイドに“相棒”を見せてくれた作品です。以前にも「ついている女」二部作で脱獄犯のふたりの間に友情が芽生えるストーリーがありましたが、あれはあくまでも友情であり、やっぱり“相棒”という言葉はしっくりきません。

 それに対して今回は、何年もの間組んで仕事をしてきた詐欺師のふたりの間には確かな絆がありました。実際のとところ、このふたりはただの仕事仲間に過ぎなかったわけです。それなのに既にそれを越えたパートナーであり、自分の命を捨てでも相手を守りたいと思えるほどに信頼している仲だった。それは殺された男が電話口に“こうちゃん”と親しげに呼んでいることからも明らかです。年齢も生い立ちも違った(たぶん)ふたりの男が、仕事を通して誰にも断ち切れない絆を得、掛け替えのない存在になっていく――これってもう『相棒』の物語じゃないですか。本話の主役は特命係のふたりではなく、間違いなくこの詐欺師たちでした。素晴らしい!!

 事件の真相がはっきりしたことで法的には横田たちがより不利になり、悪人(に思える人々)の罪が軽減される皮肉でもあり矛盾のあるような結末も、傑作だった前話「暴発」の“核”を引き継いでおり、放送の流れとしても非常にスマートでした。

てゆーか右京さん、ホラー映画だったら確実に喜んで行くよね?


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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