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相棒 Season 9 第6話「暴発」

★★★★★

右京と尊は、角田課長率いる組対5課と、薬物を違法に流している二見会の一斉摘発に参加。が、事務所から男の射殺体が発見された。組員たちが殺人について黙秘する中、厚生労働省の麻薬取締部、通称「麻取」の五月女課長が、自分たちも内偵していた二見会の送検を手伝わせてほしいと言ってきた。見返りに薬物の入手ルートなど貴重な情報を、という条件に上層部も承諾する。一方、右京らは、薬物を買った人間が検挙の情報を事前に得ていたかのように逃亡したことを知る。さらに麻取が取り調べを行った翌日、突然、組員たちは死んだ男は銃の暴発が原因だった、と口を揃えて証言し始め……。


傑作 ktkr !!
 手柄の欲しい一課と組対5課による事件の奪い合い、麻取と警察の蜜月関係といった公的組織の暗部モノと思いきや、見進めていくとどうも毛色が違う。事件は予想もしていなかった方向に転がり、焦点は現在の潜入捜査方法の是非と薬物売買組織側のスパイの扱い、そして右京さんの冷酷なまでに真相を追求する姿勢の怖さにまで発展します。
 いつだったか小野田官房長が薫ちゃんに向けて言った「杉下の正義は暴走するよ」のセリフ。「特命」で神戸君が指摘した頑なまでに真実を暴こうとする信条の残酷さ。誰が正しくてどれが正義なのかもわからない。主役を張る右京さんでさえ“悪者”に見えてしまう。1時間のドラマにしてかなりヘビーで見応え抜群。これが『相棒』。私の求めていた『相棒』です!

(以下、多少のネタバレあり)

 ここで論じるべきなのはやはり右京さんの正義の在り方。真実は絶対のものであり、どんな理由であれ曲げられるべきでない、という右京さん。たとえそれで今回スパイを買って出てくれた男が刑期を終えて出所した後、報復に殺されることが確実であろうとも、それは現在の“法”や保護システムに問題があるのであって、いまここでは関係ないと言う。

 そこに納得できないのが神戸君。そして三浦さん。命の危険まで冒してスパイをやってくれた男が、刑務所を出た後でみすみす殺されるのを放ってはおけない。それならば、組織の体裁を鑑みて“穏便”に済ませようとする麻取や上層部の考えを利用するカタチで、ある程度に真実を曲げ、真相を公表しない(つまり殺した彼がスパイであることを秘匿し、それに沿ったストーリーでの罪状を与える)ことで彼を守ろうとする。そのために証拠のビデオまで消した上で自分は間違ったことをしたとは思っていない、と述べる神戸君。右京さんは右京さんで、その行為を責めはしないが、それでも正しい罪で裁かれなければ意味がないとエンドロールの最後の最後まで平行線をたどったままで終幕。後味悪いなぁ。それが良いんだけど。

 私の意見は断然神戸君&三浦組に近いです。右京さんのスタイルは真実>人命といった感じ――いや、そもそもそんな天秤なんてないのかもしれない――で、黄金期の探偵みたいな身勝手さがある。物語における探偵の役割は、あくまでも「みんなを幸せにすること」だと思っている私は、はやみねかおるに影響されすぎなんでしょうか。

 上から言われたことをちゃっかり事務的にこなす芹沢君や、過失致死か殺人かを曖昧には処理できない伊丹、駆け引きの関係上相手の意見を呑むしかなかった角田課長など、キャラクターによってそれぞれ立ち位置が異なるのも面白い。特に、私は伊丹のことを根本は薫ちゃんと同じタイプの人間だと思っているので、そんな彼が右京さんと共に行動する様はかつての特命係のふたりを見ているようでした。


さてさて。来週は公式HPによるとリアルタイム進行の物語らしい。
『ニック・オブ・タイム』方式。最近では『24 -TWENTY FOUR-』か。
前シーズンの「右京、風邪をひく」といい、まだまだトリッキーな演出が飛び出してきますね。
期待値高し。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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