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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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初野晴『空想オルガン』

空想オルガン空想オルガン
初野 晴

角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-09-01
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★★★☆☆
つまずいたっていいじゃない。上に向かってつまずけば高く飛べるかもしれないじゃない。
手足をじたばたすれば、もっともっと飛べるかもしれないじゃない。

吹奏楽の“甲子園”普門館を目指すハルタとチカ。ついに吹奏楽コンクール地区大会が始まった。だが、二人の前に難題がふりかかる。会場で出会った稀少犬の持ち主をめぐる暗号、ハルタの新居候補のアパートにまつわる幽霊の謎、県大会で遭遇したライバル女子校の秘密、そして不思議なオルガンリサイタル……。容姿端麗、頭脳明晰のハルタと、天然少女チカが織りなす迷推理、そしてコンクールの行方は?


「“ハルチカ”シリーズ」 第3作。
 あらすじのチカの紹介がチカ本人による改竄のようにしか見えない罠。天然少女じゃなくて爆弾娘の間違いっしょ。
 初野晴のこのシリーズ、単行本は買わない主義の私が唯一集めていたハードカバーものだったのですが、前作『初恋ソムリエ』の出来があんまりだったこともあって今回は購入見送り。図書館で借りてきました。いざ読んでみると内容的には盛り返していて面白かったので素直に買っておけば良かった、と後悔しています。来年4作目が出たときに一緒に揃えるかなー

 全4編からなる本作のお気に入りは「ヴァナキュラー・モダニズム」。シリーズ全短編の中では1作目『退出ゲーム』所収の「退出ゲーム」に次いで本格度の高いミステリになっています。パズルゲームのようなアイディア満点の謎と少し重たい人間模様、本シリーズのウリである二本柱を十二分に堪能できます。勿論、恒例のぶっ飛んだゲストキャラも健在。今回はハルタの姉の南風さん。すごいインパクトです。上条家疲れそう……。
 「ジャバウォックの鑑札」は高級犬の飼い主当てが主題。迷い犬の飼い主と名乗り出たふたりの人間のうちどちらが本物かを推理します。でもこれ、ドッグタグの暗号解読のために出てくる小説のタイトルはあの段階では特定できないような。それまでの会話だと単純に“長くて覚えづらい名前”としか言ってませんでしたよね? いくらなんでもムリがある。どうも初野さんは謎解きの見せ方がスマートでない気がします。
 最後の話のタネは早くから見当がついちゃいました。でもここでのメイントリックは“あの人”ではなく“あの娘”の事情についてです。それが全編通して仕掛けられていた謎。これには完敗、まったく気付きませんでした。

 しかし『ガンバ』とか『ドラゴンボール』とかアニメネタが豊富なのは時流なんでしょうか。最近のヲタ向けアニメとかも鑑みて。大量のトラウマを生み出したことで有名なノロイも、原作しか読んでいない私にはただのイタチに過ぎないですけどね!

 全体としてはほぼ満足だったのですが、強いていえばコンクールの演奏シーン全カットが残念でした。あそこまで主軸に据えておいてそれは酷い。みんなそこに向けて頑張ってきたんだから、ミステリ抜きにしてもちゃんと見せてほしかったです。一応それについては「序奏」でチカが弁明はしているのだけれど、生殺しにもほどがある……。


次作では卒業した片桐部長とナナコが付き合ってるに60票!!
(片桐先輩をカマキリ先輩と変換してしまうのははやみねファンの性なのか)


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Comment

NoTitle 

ラスト4つの連作短編がぴたりと綺麗に収束する構成手腕がお見事でした。
最後にはまだ終わりじゃないんだという希望がわかり、また次に期待しています。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。
  • posted by 藍色 
  • URL 
  • 2013.04/26 18:32分 
  • [Edit]
  • [Res]

 

トラックバックありがとうございます。

最後の短編はわかりやすいトリックとして犯人の件が比較的取沙汰されがちですけど、実はあのキャラの秘密に関する伏線の丁寧さにこそ、この作品の真髄があったと思います。「ハルチカ」シリーズの中ではこの作品がいちばん面白かったですね。
  • posted by はろーすみす 
  • URL 
  • 2013.04/28 22:36分 
  • [Edit]
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「空想オルガン」初野晴

吹奏楽の“甲子園”――普門館を目指す穂村チカと上条ハルタ。弱小吹奏楽部で奮闘する彼らに、さまざまな事件が持ち上がる。青春ミステリの決定版、ハルチカシリーズ第3弾! 吹奏

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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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