2010.11/27 [Sat]
映画『シャーロック・ホームズ』
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★★★★☆
君の言う通り、探偵には事件が必要だ。
――いますぐに。
あらゆる悪がはびこる、19世紀末のロンドン。不気味な儀式を思わせる手口で、若い女性が次々と殺害される怪事件が勃発する。名探偵シャーロック・ホームズはたちまち犯人を突き止め、邪悪な黒魔術を操るブラックウッド卿を捕まえる。だが彼は、処刑されても自分は復活する、とホームズに宣言。やがて予言通り、死刑に処されたブラックウッドが、墓場から甦ってしまう。前代未聞の大事件に人々がパニックに陥る中、ホームズだけは史上最大の謎に挑めることに胸を躍らせていた……。
(2009年 アメリカ)
既存の映像作品とはまったく異なるホームズ像で話題となった映画『シャーロック・ホームズ』です。私は年代的なものもあり映像で見るホームズはこれが初だったためか、特に違和感もなく見られました。というよりもむしろ、映画冒頭でブラックウッド卿を追い詰めてのサスペンスアクションっぷりは、冒険活劇の香りが色濃い原作小説の作風にかなり合っているように思います。
宗教やオカルティックな話が絡んでくるのも実にホームズらしい。椎名高志も喜んでいることでしょう。
ご自慢のバリツを炸裂させては敵を薙ぎ倒し、退屈しのぎに部屋の壁を銃弾で打ち抜く、瞬時に物乞いに変装して何食わぬ顔で相手を偵察する――これはまさしくわれわれが読んできたシャーロック・ホームズそのものです。
ワトスンがホームズより一歩下がった“助手”ではなく対等な“相棒”として描かれていたのも好印象。色々と文句を言って呆れつつ、結局は相方のホームズに付き合ってやる保護者目線な強気ワトスンも、これはこれで良いキャラ付けでした。「暴走しがちな探偵の手綱を握る語り部」というポジションは現代のミステリでもわりかし多く目にするので親しみが湧いてきます。
謎解き部分もしっかりとしています。完璧に推理するには多少の知識が必要ですが、ホームズとワトスンが死んだ男の家の中を探って回る場面で確かに重要なカギとなる証拠の数々はさり気なく映し出されている。後の解決編において、それらをホームズの視点からフラッシュバックさせてみせるのもわかりやすくて良かった。
“アノ人”の真の狙いにも登場人物たち同様にすっかり騙されてしまいました。なんとなく『二十面相の娘』ちっくな展開で。あれが本当に殺された男がひとりで作り上げたものなのかどうかが今後のポイントになってきそうです。
ここら辺、相当みすてりみすてりしているんですけど、何故か世間では「推理はナシ、完全なアクション映画」と称されているのが謎すぎる。アレなの? トリックどばーんっ!! な展開じゃなければ、伏線で魅せる“気付き”の爽快感やミスリードの上手さは完全無視なん? 個人的にはそこが不満かな。もっと評価されて然るべき。
それにしてもこの映画、原作へのオマージュ精神に関しては痒いところに手が届くというか、ファンなら思わず反応してしまうようなネタがそこかしこに仕込まれています。
ハドスン夫人の「また犬を殺したの?」というセリフは『緋色の研究』のラストを彷彿と、兄の別荘云々はマイクロフトのこと等々、いままでの概念を打ち破る作品に見えて、本当はファンが最も楽しめる仕様になっている。この作り方、『スター・トレック(ST11)』とまったく同じです。こういった愛あるリメイク、リ・イマジネーションは嬉しいですね。
続編にもかなり期待。
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