2009.04/28 [Tue]
藤田令伊『現代アート、超入門!』
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★★★★☆
便器は見た人の「なんだこれ?」や「こんなのありか?」を引き出すための、いわば狂言回しなのである
たとえば一九一七年に発表されたデュシャンの『泉』。この作品は工業製品である便器がそのままアートとして出品されたものだ。仲間のアーテストたちにも「はたしてこれはアートか?」と理解されなかった作品が、なぜ今現代アートを代表する作品といわれるのか?さまざまな作品を俎上に載せながら、現代アートの「わからない」をごくフツーの人の立ち位置に立ち、難解な解釈から解き放たれた「よくわかる」現代アートとの付き合い方、鑑賞法を探り当てる。
そう。「現代アートはわからない」
さして美術に詳しくもない一般人である自分には、ピカソの絵のどこが素晴らしいのかはわからないし、ましてや美術の教科書の後ろに載っていたような“トイレ”や意味不明の抽象画のどこが良いのかなどまるでわからない。理解できないものとわりきっていた。
一年に一冊読むか読まないかの新書ですが、書店でこの本のオビを見たとき、これは読んでおきたいと衝撃を受けました。だって、「何が描いてあるのかわからない」「意味がわからない」「上手かどうかわからない」「価値がわからない」とか、まさしく自分の思っていたことそのままだったので。
実際、読んでみて正解でした。この本を一読したら、以前とはまったく別の視点でアートを見られるようになると思います(少なくとも「わからないから」という理由だけで見向きもしないというのはなくなります)超オススメですね、これは。
たとえば、カンディンスキーという人の抽象画は、まさしく抽象画なわけで。コンセプトが「破局」と「新生」らしいのですが、実際の絵は絵の具をぶちまけたような謎絵です。しかし、カディンスキー本人は、“自分の描き途中の絵が、向きを間違えられて飾られているのを見たときに感じたなんともいえない魅きつけられる感覚”が、それが横向きの自分の絵だと気づいた瞬間に失せてしまったことから、具体的に何が描かれているかわかる絵は“真の美”の邪魔をしているのでは、と考え、なるべく何が描かれているのかわからない絵を描くように努力したそうです。
つまり、わけがわからない抽象画は、素直にその絵から受ける印象に浸れば良いらしいのです。それがアート鑑賞の基本であり根幹でもある、と。
思えば、何かの模様を見たときに妙に魅かれたりすろことがあります。そういうことと何ら変わらないことなわけです。
これってつまり“萌え”ですよね?何かを見て、「あ、いい」と思う感覚。
景色だって、キャラだって、仕草だって、みんな同じです。そう思うと、現代アートが俄然近く感じられてきました(影響されすぎww)
今度、美術館、行ってみたいです。
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