2010.11/19 [Fri]
矢崎存美『再びのぶたぶた』
![]() | 再びのぶたぶた (光文社文庫) 矢崎 存美 光文社 2009-12-08 売り上げランキング : 100728 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★★☆
以前、お会いしましたか?
小池信江は、亡き夫との思い出の公園を訪れていた。まさに桜が満開の季節。桜吹雪の中、つい眠り込んでしまった信江に話しかけてきたのは、可愛い点目のぶたのぬいぐるみだった。熱を出して倒れたことから、彼女と彼の不思議な同居生活が始まる……。ほか、心優しきぶたぶたが人々に温かな波紋を拡げてゆく、ハートウォーミング・ストーリー全五編。
「ぶたぶた」シリーズ 第11作。
今度の「ぶたぶた」は著者曰くスピンオフ。どの話も過去の「ぶたぶた」作品で描かれた物語の続編になっているファン歓喜の内容。といっても下手すれば5年以上前に読んだだけの作品もあるので、殆どの登場人物を忘れちゃっていたりするんですけどね。
それでも信江さんチャーハンは覚えてましたよ! あの話の前日譚にあたるのが本作収録の「桜色七日」なんですね。“結果”を知っているだけに、今回の表紙にはくるものがあります。なんて美しい表紙なんだろう。これを表紙に持ってきたことからも、矢崎さんの信江さんに対する思い入れの深さを感じさせます。
「ぶたぶた」のシリーズのコンセプトは言わずもがな、様々な職業に就くぶたぶたさんが、彼と関わった人の心を少しだけ軽くしてくれるというもの。そういう意味ではぶたぶたさんのお話ではあるのですが、物語そのものの主役はその度毎に替わる人間の側。「ぶたぶた」はぶたぶたさんと逢って変わっていく人々の物語なのです。
第1作の『ぶたぶた』があそこまでの神作品(マイベスト10の第8位!)になったのは、まさにその点を突いてきたからだと思います。ならばこの『再びのぶたぶた』は第1作の魂を汲んだ正統派の後継作でしょう。
「ぶたぶた」の新たなる10作のスタートを切る作品(平成ライダーちっくに)にこれほどまでに相応しい作風はないです!
いつかの物語で交錯した彼ら彼女らにまた再会できる喜び。一生「ぶたぶた」に付いていこう、と改めて思わされる作品でした。こういった続編もの、またやってくると嬉しいかも。
スポンサーサイト
Comment
Comment_form