2010.11/13 [Sat]
矢崎存美『訪問者ぶたぶた』
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★★★☆☆
そうだな……。だからあんたにも、彼と一緒に何かさせたかったんだ。
絶対に何かが変わると思ったから
ホストのコウは焦っていた。ナンバーワンは引き抜かれ、オーナーは病に倒れ…。そんなとき耳にした“伝説のホスト”の噂。不滅の売上記録を持つ謎の男とは?(「伝説のホスト」)。もう〆切に間に合わない――。アシスタントたちに逃げられ、独り泣く少女マンガ家の元にスゴ腕の助っ人がやって来た(「ふたりの夜」)。笑いの後にじんとくる、人気シリーズ続刊。
「ぶたぶた」シリーズ 第10作。
本気の積読本消化を見せてやるぜ!ということで今回も「ぶたぶた」。新刊発売前に読み終えなくては。
最近ミステリとはご無沙汰ですが、もうしばらくお付き合いください。
――さて(せめてもの探偵小説的な入り)
「ぶたぶた」の記念すべき10冊目はコメディ編。著者が明言しているだけあって中身が笑いに全振りです。特に「気まずい時間」のぶたぶた先生は笑った。電車の中で読んでいたので相当危険でした。その他の章も前作の反動からか基本的に明るいほんわか話が展開されます。
しかしぶたぶたさんを舐めちゃいけません。目次を見たときには「伝説のホスト」とか完全に出オチ(題オチ?)だろ、とか思っていたのに意外と真面目で、良い意味で予想を裏切ってくれました。ぶたぶたさんの次女がまた可愛くて可愛くて……。
私のお気に入りは「二人の時間」。何だかんだいってもシリアス風味の方が面白いと思ってしまう。ぶたぶたさんと接することで――何があるわけでもなく、ただ接するだけで心に抱えた重みがいつの間にか軽くなっているという自然体が良いですよね。登場人物が救われたのを見ると、ほっとするから。まぁ、そうはいいつつこの「二人の時間」も疑いようがないくらい完璧にコメディしてるんですけど。
ところで。最初の短編でぶたぶたさんがアップルパイづくりにハマっていると言っていたのはファンサービスですかね? それとも或いは前作と繋がった世界観なんだろうか。うーん、いちいち整合性や辻褄合わせを求めて考察してしまうのは特ヲタの悪い癖。
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