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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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映画『悪霊喰』

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20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2008-10-10
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★★★★☆
神の住まいは建てさせるのに神の国へは行かせられない、と。
そういうことですか?

ニューヨークの司祭アレックスは、恩師であり、父親代わりでもあったドミニクがローマで急死したことを伝えられる。そこには、かつてキリストが用いたとされるアラム文字が書き記されていた。何らかの儀式が執り行われたのではと直感したアレックスがドミニクの遺体を調べると、そこにも謎の印が残されていた。恩師の死が単なる自然死ではないと確信したアレックスは、独自の調査を開始する。そして遂に、事件の鍵を握る“罪食い”の存在に行き当たる。罪人をも天へと導くという、その背徳な性質により、カトリック教会より『異端』とされ、封印されてきた古き伝説の使徒は、この世に本当に存在するものなのか……? アレックスは“罪食い”の本質に迫ろうと、禁断の世界へと調査を踏み入れて行く。 (2003年 アメリカ)


地上波で放送があったので録画視聴。
 一応、悪霊は出てきますがホラーではありません。というか“悪霊喰”なんてものが出てこない。罪人の罪を自ら背負うことで死の淵にある者の心を救い、赦しを与えるシンイーター(=“罪喰い”)を核にした物語。誰だ、こんなややこしい邦題付けたヤツは。

 私のような無宗教者は、死の間際にいままでの罪を赦し安らかに眠らせてくれるのであれば、それが教会であろうが“罪喰い”であろうがどちらでも構わないのでは、なんて思うのですけど、どうもそう簡単にはいかないらしい。破門された人間はもはやキリスト教徒とは呼べず、そんな人間たちを神の元に招くなど言語道断、相手にいくら信心があって救いを求めても、歯牙にも掛けないのです。
 そんな非教徒すらにも救いを与えてしまう“罪喰い”は教会にとって自分たちの存在意義を揺るがす危険な存在。救いを求める者を自分たちの意に沿わないからと徹底的に蹴落とすその様は、本来の目的を大きく見失っています。
 人間の成長を天から見守ってきた神が、守られるべきか弱き存在から逸脱しつつある人間たち(=アギト)を“これからも見守っていくために”駆逐していく『仮面ライダーアギト』のストーリーに似ています。まるで本末顛末。まさにエゴ。

 そういった諸々に疑問を抱いていくアレックスが自分の感情に素直に向き合ったとき、“罪喰い”もまた悪ではないことを覚ります。赦すのは神の仕事で、人がそれを行っても良いのか? 他人の罪を背負い赦す“罪喰い”イーデン、己の欲を節する司祭アレックスはそれぞれ人間といえるのか? 等々、互いに語り合う場面は哲学的であり、文学っぽくもあります。
 ふたりの生い立ちから現在までの状況が丁寧に描かれているため、イーデンがアレックスを指して自分たちは似ている、と言う部分にはかなり説得力があります。ふたりの立場は逆転していても不思議ではないくらいにそっくりです。

――それもそのはず、というのが終盤。
 個人的にはこのサスペンス展開はやっちゃったなー と思いましたね。無理に謀略荒療治にしなくたって全然面白いのに。たぶんこのまま地味に進んでも盛り上がらないと踏んでああなったのでしょうけれど、むしろマイナスです。何で素直にわかりあえない善意の衝突で止めておかなかったかな。
 中盤までの流れのままアレックスが段々と変わっていき、司祭からシンイーターに転向する決意を見せるハッピーエンドだったら確実に★×5、マイベスト10入りの傑作認定だったんだけどなぁ。
それでも良作なことには違いないです。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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