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相棒 Season 9 第2話「顔のない男~贖罪」

★★★☆☆

自宅で死亡した人気作家・湘子のアシスタントを務める岡崎が自宅マンションの屋上から転落死した。屋上で見かけた男を逃した右京と尊は岡崎の部屋で湘子から宅配便で何かが送られてきたことを知る。部屋を調べると湘子が取材していた商社マンの笠井らが写った写真が見つかった。そして屋上からは元SAT隊員の上遠野の指紋が……。


意外とあっさり小ぢんまりだったなー
 大物が絡んでくる割には真犯人の動機も自己保身に終始していて犯罪者的にもかなりチープな部類。スケール感も乏しいし、2時間SPでやっていたら肩透かしだったかもしれない。しかし今回は敢えてそれはしませんでした。1時間×2話の前後編としては充分に満足お腹いっぱいな内容。制作側がそこまで見越して分割2時間にしたのかは不明ですが、結果的にこの判断は正しかったと思います。

(以下、ネタバレあり)


 かつて極限状態での戦闘訓練でパニック状態に陥った部下を射殺してしまった上遠野。現場にいた隊員は誰もがあの状況では仕方が無いと証言しますが、1人だけそれに異を唱える者がいました。曰く、小隊長の射撃の腕なら肩などを打って相手を無効化できたハズなのに、よりにもよって致命傷を与える頭を打ち抜いた、彼は最初から殺す気で撃った。
 結局この証言に関しての明確な解答は劇中で示されませんでしたが、ただひとつわかっているのは部下を撃ち殺した上遠野はそのことにより逃れられない十字架を背負い、いまも後悔し続けているということ。
 難しい問題です。一般には頭部は“的”としては小さいので弾が当たりづらく、腕に余程の自信がない限りは幅広の胴体を狙った方が命中する確率は高いといわれています。それなのに上遠野は頭を一発で打ち抜きました。このことからも上遠野の射撃能力を疑う余地はありません。

 でもこのシチュエーション、何かに似ています。そう、『24 -TWENTY FOUR-』 Season 6 でジャックが信頼を寄せる同僚カーティスを撃ち殺した場面です。あのときは私も、何も殺さなくてもとカーティス退場を嘆きましたが、いますぐにでも何とかしなければならない状況で、果たして手加減をするだけの余裕が心にあるのかという話です。
 仮にあったとしても、下手にツメを甘くすると命を取り留めた相手が何をしてくるかわからない。不安要素を残すことになります。たとえ可能性が万に一つであっても、切羽詰った状況でそんなミスがあってはならない。やるなら完璧に。ジャックにしても今回の上遠野にしても、その精神が根付いた本物のプロだったということでしょうね。あの場の彼らには殺す以外の選択肢はありえなかった。

 自分の“地位”を守るために、そこに付け込んできた伏見は最悪です。まさに最も悪い、最悪。今回のこのあっさりさは、実行犯・上遠野が1人の死に重い罪を背負い悩み続けたのに対して、真犯人・伏見がくだらない理由のために3人の人間に手を掛けさせ、さらには上遠野本人も消そうとした――この両極端な関係に起因していると思います。妙に力の入った非日常的な訓練場面が全体で見ると浮いているのも仕方ない。
 要するにこの事件は伏見視点なんです。われわれに親しみのある都会の一室でいとも簡単に人が死に、2時間SPにするにはちょっと物足りないスケールの小ささが際立てば際立つほど、特殊な環境下であった上遠野の事件がより異質で夢のように感じられ、彼の悩みはいったい何だったんだ、ということになる。
 他人を殺すことに対して真剣に向き合った人間と、殺人を屁とも思わず指示をするだけで向き合いもしない人間が迎えるそれぞれの結末。この前後編は両者の対比の物語でした。


で、来週休んで再来週は画家のお話。
『相棒』の職人がテーマの回は比較的評価が高いようだけど私はあまり好きじゃない。
しかも太田愛脚本とは。期待値下げておこ。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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