2010.10/23 [Sat]
米澤穂信「撃殺」

★★★☆☆
ボス。ちょっとお時間をいただけますか
火気厳禁とのクライントからのお達しにより、<撃殺>だけがどうしても用意できないレベッカ。頭を悩ます彼女はボスに相談を持ち掛けるが――。このショートスト-リーは、『インシテミル』にちなんで書き下ろされたものです。全部で4パターンあります。別のお店では、他のストーリーを掲載したペーパーを配布しています。ぜひ探しに行って、4種類集めてみて下さい。
『インシテミル』番外編。
2007年のハードカバー版刊行当時、一部書店で配布されていたフリーペーパー「暗鬼館への招待状」に載せられていた短編小説です。
これを入手した3年前は大元である『インシテミル』を読んでいなかったので何のことだかまったくわからなかったのですけど、いまこうして文庫化されたものを読み終えた後で改めてメヲトオシテミルと、なるほど暗鬼館実験の主催者<クラブ>の人たちの会話だったのね。作中では完全に謎な存在として描かれていた<クラブ>ですが、その実態はどうやら普通(?)の会社組織だったようです。しかも米国風のハードボイルドなキャラづくりに陶酔した係長・ボスと、文句を言わず付き合ってあげている女子社員・レベッカの珍妙な組み合わせ。何このふたり、好きすぎる。
こんな笑える会話の末に決められた凶器が暗鬼館実験で各部屋に配置されているのだからカオスにも程がある。これを知ったら参加者たちは完全に涙目。知らぬが仏とはよく言ったものです。死んでも死に切れません。いつもの白木屋ですか?じゃないだろw
私の持っているのは<撃殺>がなぜあんな変り種になったのかという裏話「撃殺」ですが、その他の3編も読んでみたかった。
いまとなっては完全に後の祭りですけど。
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