2010.10/12 [Tue]
ルーファス・キング『不変の神の事件』
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★★★☆☆
「これは殺人じゃないわ。処刑よ」リディアは宣言した。姉を自殺に追い込んだ憎き恐喝者が、いま残された家族の前で息絶えたのだ。彼らは死体を処分しようと画策するが、事件は早々に警察に知られてしまう。一方、通報を受けたニューヨーク市警のヴァルクール警部補は着実に彼らの跡を追う。だが、事件はそこから思いも寄らぬ相貌を見せ始め……。
「ヴァルクール警部補」シリーズ 第9作。
――なのに、シリーズの殆どが未邦訳という悲劇。シリーズものは基本的に1作目から順番に読んでいく派なので残念です。
本書は創元推理文庫の復刊フェア2010で再刊されたもの。私自身まったく知らない作品だったのですが、平積みにされていたタイトルに惹かれて購入しました。神秘的かつ壮大な事件を期待していたら、あまり「不変の神」は関係ありませんでした。なんてことなの。
一見、倒叙方式のサスペンス小説と思いきや中盤あたりから何やらおかしな事実が判明し、物語の行方は“その謎”がどういう着地を見せるのかという点に集約されます。犯人を断定するための決め手は基本中の基本(といってもこの作品が書かれたのは既に70年以上も昔で一概には言えません)とはいえ、単純だからこそさらっと読み流してしまいがちでなるほどねぇー、と感心させられました。一家の素人丸出しの危なっかしい事後工作に肝を冷やしている場合じゃなかった、いや本当に。
犯人が被害者の殺害に及んだ際の状況に関しては素直に納得できなかったりもするんですけどね。
それはともかく。三人称多視点の文章で行間を空けずに視点が切り替わる場面が何度もあるのはどうなんだろうか。
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