2010.09/24 [Fri]
太田忠司『甘栗と金貨とエルム』
![]() | 甘栗と金貨とエルム (角川文庫) 太田 忠司 ミギー 角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-02-25 売り上げランキング : 359588 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★★☆
決まってるだろ、俺の仕事だよ
名古屋に暮らす高校生・甘栗晃は、突然亡くなった父親の代わりに、探偵の仕事をすることに。依頼は、ナマイキな小学生・淑子の母親探し。――美枝子は鍵の中に? 謎めいたこの一言だけを手がかりに、調査を始めた晃は、初めての「出張」で、大都会・東京へ。慣れない街に四苦八苦しつつ、謎を解こうと必死の晃だが、衝撃の事実を知り!?
「甘栗晃」シリーズ 第1作。
高里椎奈「フェンネル大陸 偽王伝」のミギーさんが装画を担当しているので気になって買ってしまった1冊。特定のイラストレーターに惹かれて本を手に取るのはライトノベル脳になってきたようで、ひとり警戒を強めてしまう。 太田忠司作品は既に「狩野俊介」シリーズの『月光亭事件』を積読中なのですが、なぜかこちらを先に読み終えるという、加納朋子でもやっちゃったパターンね。そして何故か両方とも置き去りにされるのは創元推理……。
閑話休題。
本作の舞台は名古屋。死んだ父親の後を継いで探偵をする高校生、少女の依頼人、少し黒い同級生とキャラっぽい設定にありながら、実在の街を舞台にあちこち駆け回るのでフィクションとリアルが絶妙に織り交ざった物語となっています。
私は東京在住で名古屋には万博のとき、それも会場直行の夜行バスでしか行ったことがないので詳しい地理はわからないのですが(逆に新宿パートはよくわかるw)、地元の人にはたまらないでしょうね、これ。聖地巡礼とかしたくなります。
本格ではないので真相に関してはそれほど大きなミステリ的な仕掛けはありませんが、安直な着地点で終わらせず、意外とビターな展開になったのは驚き。それでもあれが最良の結末だと思う。甘栗君はできることをやったし、エルムもできることをやる。その結果、どうなるのかはわからないけど、きっと悪くはないはずだと。読後感は苦くもありつつ、爽やかでした。
――うん、良かった! 面白かった!!
太田忠司、かなり好きかもしれない。
そんなわけで続編『甘栗と戦車とシロノワール』もすぐに読みたいくらいなのですが、
ちゃんと揃えたいので文庫落ちまで気長に待とうかな。あと1、2年?
でもこの2作目、どうもエルムが出て来ないみたいなんですよ。
エルムのいない「甘栗晃」シリーズなんて、クリープの入ってないコーヒーみたいなものじゃないか!!
三ヶ日よりエルムをd(ry
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