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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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森川智喜『キャットフード 名探偵三途川理と注文の多い館の殺人』

キャットフード 名探偵三途川理と注文の多い館の殺人 (講談社BOX)キャットフード 名探偵三途川理と注文の多い館の殺人 (講談社BOX)
森川 智喜 平沢 下戸

講談社 2010-07-02
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★★☆☆☆
なんだ、あるじゃない! 人間は作ってくれないけど、食べてみたくなる食品が!
一攫千金を目論む化けネコ・プルートが考えついたのはコテージに見せかけた“人間カンヅメ”工場。彼女の計画はしかし、思わぬ形で破綻する。工場に呼び寄せた高校生の中に、人間に化けた黒ネコ・ウィリーが混ざっていたのだ! ネコ社会の法律により、ネコを殺すことは許されない。4人の人間から1匹のネコをあぶりだせ――尻尾を出したら殺される。


 あらすじに反して主役はウィリー。離島のカンヅメ工場に“材料”として誘い込まれた飼い主同然の女の子・狼森と、その友人たちが殺されてしまうのは忍びないと考えたウィリーが工場主のプルートに宣戦布告をし、何とかして人間たちを島外に逃がさそうと画策します。対するプルートは自分の主人で探偵の三途川に協力を仰ぎ、ウィリーが「誰」なのかを探ろうとする――。
 化けネコ同士のロジカルな頭脳戦が繰り広げられ、最終的にどちらが勝つのかという物語を志したようなのですが、何というか……すごく下手です。魅せ方にしろ、書き方にしろ。読んでいる最中に、ここの文章をざっくり切ってこっちに入れたら良いのにと思うこともしばしば。そういう意味ではかなりフラストレーションが溜まります。

 ミステリらしく伏線も張ったりしているのですが、それらも直後に回収してしまったりで何がしたいんだろうという感じ。結局それらが最後まで足を引っ張るものだから、ラストも一応それまでにばら撒かれた布石の上で成り立っているにも関わらず消化不良。そもそもあの解決は物理的に不可能なんじゃ? んー。なんだかなぁ……。

 それにも増して最悪だったのがこの三途川理。人の命を何とも思わない痛キャラの高校生。思い上がりの高校生風情が何調子に乗っちゃってんの、とまぁとにかく酷いわけですよ。西尾維新『新本格魔法少女りすか』のキズタカ並みに腹立たしい。ほんと何なのこいつ。死ねば良いのに。
そんなことだから副題も全然しっくりくるハズもなく。いや、ね。つまらなくはないんですよ、決して。残念賞!(あずまんが風に)


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Comment

この人の作品って期待し過ぎちゃイケないですよ~ 

新作「一つ屋根の下の探偵たち」が出ましたね〜。
設定が面白いね☆でも探偵って職業としてはどうなんだろ?現実的でないことへの説得力はいかに?

birthday-energy.co.jp/
ってサイトは森川さんの本質にまで踏み込んでましたよ。デビューの時期が悪かったので望み過ぎは良くないそうです。
  • posted by toto 
  • URL 
  • 2013.10/09 14:31分 
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謎が出されてすぐ回収されるという形式は読者を惹き付けるための書き方の一つであって、森川先生の魅せ方が下手というわけではないと考えます。たとえば、舞城王太郎氏が(本格とはまるで路線が違う人だけど)似たような手法を用いています。ブログ主さんは後の森川作品を読んでいるようなので気づいてくれると思いますが、このような手法は意図的に使われているものです。なぜこのように謎を出してすぐに返ってくるような使い方をするのかといえば、それは現在の若年層の読者(本作のたーげっと)が小説を読む姿勢に関わってくると考えます。これについては文庫本『スノーホワイト』の解説でも触れられていますが……(書くのに飽きたので省略)

基本、わたしは個人ブログの読書感想文(?)にはコメントをしないのですが、森川好きの一人として『キャットフード』をこんな乱雑な感想で完成度が低い(本ブログにおける『スノーホワイト』の記事)作品と決めつけられては黙ってられんぞと思い、書かせていただきました。単に「自分に合わない。つまらなかった」と書くだけなら別にかまわんのですが、作品の完成度うんぬんについて触れるなら、作品の内容についてとん突き詰めてほしいものと感じます。というか、それぐらいの気概がなきゃいかんだろうと思います。作者の用いた手法がわからんのなら、どうしてそんな使い方をするのかを考える程度には。
  • posted by メタT 
  • URL 
  • 2015.01/27 05:59分 
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コメントありがとうございます。

私も森川さんは特に期待している作家のひとりで、『一つ屋根の下の探偵たち』がその年の本ミスで30位にすらかすらなかったのは今でもおかしいと思うくらいに実力を買っていますが、やはり2作目以降と比べるとデビュー作はまだまだ書き馴れなさ、粗さが目立っていました。せっかく張った伏線もたった数行で回収してしまっては機能しているんだか、してないのだかという感じで(勿論、そうじゃない箇所もありますが)

ただ、私が読んだのは講談社BOX版なので、大幅に改稿されているらしい文庫版ではまた印象が違ってくるかもしれません。実際、3年のスパンを置いて2013年に刊行された3作品はどれもびっくりするほど上達していましたし。
  • posted by はろーすみす 
  • URL 
  • 2015.01/28 00:24分 
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不愉快 

批判的なコメントは控えて欲しいです

個人的に三途川理は好きなんで

この記事は見てて実に不愉快でした
  • posted by 朝哉 
  • URL 
  • 2015.08/23 14:51分 
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Re: 不愉快 

愛好の士が集まる場で水を差す発言をしているのならともかく、
個人のブログで自分の感じたことをそのまま書くぶんには何ら問題ないと思うのですが。
  • posted by はろーすみす 
  • URL 
  • 2015.08/23 23:59分 
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プロフィール

はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

当ブログはリンクフリーです。
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