2010.09/16 [Thu]
森川智喜『キャットフード 名探偵三途川理と注文の多い館の殺人』
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★★☆☆☆
なんだ、あるじゃない! 人間は作ってくれないけど、食べてみたくなる食品が!
一攫千金を目論む化けネコ・プルートが考えついたのはコテージに見せかけた“人間カンヅメ”工場。彼女の計画はしかし、思わぬ形で破綻する。工場に呼び寄せた高校生の中に、人間に化けた黒ネコ・ウィリーが混ざっていたのだ! ネコ社会の法律により、ネコを殺すことは許されない。4人の人間から1匹のネコをあぶりだせ――尻尾を出したら殺される。
あらすじに反して主役はウィリー。離島のカンヅメ工場に“材料”として誘い込まれた飼い主同然の女の子・狼森と、その友人たちが殺されてしまうのは忍びないと考えたウィリーが工場主のプルートに宣戦布告をし、何とかして人間たちを島外に逃がさそうと画策します。対するプルートは自分の主人で探偵の三途川に協力を仰ぎ、ウィリーが「誰」なのかを探ろうとする――。
化けネコ同士のロジカルな頭脳戦が繰り広げられ、最終的にどちらが勝つのかという物語を志したようなのですが、何というか……すごく下手です。魅せ方にしろ、書き方にしろ。読んでいる最中に、ここの文章をざっくり切ってこっちに入れたら良いのにと思うこともしばしば。そういう意味ではかなりフラストレーションが溜まります。
ミステリらしく伏線も張ったりしているのですが、それらも直後に回収してしまったりで何がしたいんだろうという感じ。結局それらが最後まで足を引っ張るものだから、ラストも一応それまでにばら撒かれた布石の上で成り立っているにも関わらず消化不良。そもそもあの解決は物理的に不可能なんじゃ? んー。なんだかなぁ……。
それにも増して最悪だったのがこの三途川理。人の命を何とも思わない痛キャラの高校生。思い上がりの高校生風情が何調子に乗っちゃってんの、とまぁとにかく酷いわけですよ。西尾維新『新本格魔法少女りすか』のキズタカ並みに腹立たしい。ほんと何なのこいつ。
そんなことだから副題も全然しっくりくるハズもなく。いや、ね。つまらなくはないんですよ、決して。残念賞!(あずまんが風に)
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この人の作品って期待し過ぎちゃイケないですよ~
設定が面白いね☆でも探偵って職業としてはどうなんだろ?現実的でないことへの説得力はいかに?
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ってサイトは森川さんの本質にまで踏み込んでましたよ。デビューの時期が悪かったので望み過ぎは良くないそうです。