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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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田嶋秀樹「仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ Nのはじまり/血と夢」

東映ヒーローMAX Vol.34 (タツミムック)東映ヒーローMAX Vol.34 (タツミムック)

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★★★☆☆
風都に突然ばらまかれた26個の次世代ガイアメモリ。そして突如現れた、凶悪な犯罪者、“不死の兵士”=NEVER。エターナルのT2メモリで仮面ライダーエターナルとなったNEVERのリーダー・大道克己と、風都を守る仮面ライダーダブルとアクセルとの戦いの火蓋が切って落とされる遥か前――。心臓移植の手術を控えたひとりの少年が交通事故によって命を散らす。それこそが、すべてのはじまりだった……。


映画『仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ』のバックグラウンドを描いたショートストーリーが発売中の『東映ヒーローMAX Vol.34』に掲載されています。5段組み全4ページと短いながらに読み応えは抜群。
 本作ではなぜ大道克己がNEVERとなったのか、風都でネクロオーバー実験が行われるその理由とは、という部分が語られ、なるほどこれを読んでいるのと読んでいないのとでは、映画の見方が多少なりとも変わってくるはず。

 というわけで、『仮面ライダーW』の劇場版を観て来ましたのですが、そちらの感想はとりあえず置いといて、まずはその前日譚たる短編小説の感想です。何せ当ブログは曲がりなりにも書評ブログですからね!

(以下作品の性質上、劇場版のネタバレあるかも)


 まぁそんな警告文が雑誌に掲載されていたにも関わらず、観賞前に思いっきり読んでしまいましたよ orz
おかげでマリア=大道の母親≠シュラウドという事実を完全に暴露された状態で映画に臨む何とも悲しい結果に……。
いや、これを読むまでは本当にマリア=シュラウドだと信じていたのでこれは致命的なミスでした。

 さて。物語は学者の大道美保が息子を失い、その事実に耐え切れずに以前から研究を進めていたネクロオーバー技術を用いて生ける死者として蘇らせてしまう(実際にはもうちょっと複雑な原理みたいですけど)というもの。ありきたりっちゃありきたりなお話です。とはいえそこに財団Xの存在と、ミュージアムの試作ガイアメモリVSネクロオーバーの投資誘致プレゼンテーションをエピソードとして織り込んだことで『W』ならではの作品にきちんとなっています。

 一方でこの短編によって新たな疑問も生じます。テレビ版でラスボスを務めた財団Xの加頭順です。本作を読んだところではミュージアムのガイアメモリ技術は彼が引っ張ってきたもののようだし、そうなると美保の研究とはいわば敵対同士。NEVER計画を頓挫させた張本人である加頭自身がネクロオーバー個体であったというのは些か不自然です。
 財団Xがミュージアムとシュラウドの技術を転用してT2ガイアメモリを作ったように、加頭もまた財団Xが大道美保の成果を盗んで創り上げたT2NEVER的な存在であったと考えるのが妥当か。
 邪推をすれば、克己の事故自体も財団Xの差し金とも言い切れないし、そこらへんの解釈は最近のミステリでも流行(?)の“どうとでもなる”ですかね、きっと。

 大道克己。生ける死人である彼は単純に自分と同様の力を持つ対等な仲間を求め続け、その結果として風都市民ネクロオーバー化計画の実行に至った。迫害と疎外感が彼をこの強攻に奔らせました。たぶん、彼はNEVERの兄弟たちを仲間として信頼していたのだと思います。京水との会話からもそれが見てとれます。しかしだからこそファイアーガールが負けた際、彼女が自分と同等の強い存在ではなかったことに過剰なまでの寂寥感を覚え、彼女の助けを拒んで葬り去ったのではないでしょうか。
 テロの動機が“孤独感”というのが、なんともこの映画を味わい深くしています。


で。映画の感想に続く、と。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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