2010.08/08 [Sun]
テリー・ビッスン『クローン・ウォーズ・ノベル スター・ウォーズ ボバ・フェット(2)』
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★★★☆☆
君は僕の本当の友だちさ。でも、僕には友だちを持つことは許されない。
僕には独りで進むべき道、自分自身の道を行かなくてはいけないんだ
賞金稼ぎオーラ・シングに捕らえられたボバは、汚染惑星ラクサス・プライムのドゥークー伯爵の隠れ家に連行された。伯爵はそこで、恐るべき謎の兵器を発掘しているらしい。その秘密に肉薄しかけたボバの身が危うくなったとき、ラクサス・プライムは共和国軍の十字砲火にさらされる。一難去ってまた一難。クローン兵に救出されたボバだが、今度はベスピンにある孤児の施設に送られるはめに……。
スターウォーズ「ボバ・フェット」第2作。
前巻のラストでドゥークー伯爵と対面したボバですが、伯爵が“フォース・ハーベスター”なる超兵器を発掘していることを偶然知ってしまい、口封じに殺されそうになります。そのため今度は分離主義勢力側からの脱出を余儀なくされるのですけど、今回の話の殆どはこのラクサス・プライム→ベスピンへの航程に割かれており、本シリーズがかなりのスローペースであることに気付かされます。このままだと大きな事件どころか、下手したらシリーズ全6冊掛けてもジャンゴの遺産ひとつゲットだぜ!くらいにしかならないんじゃ――?
しかし、忘れてはならないのが本作はYA小説=あくまでもジュブナイルであるということ。少年ボバの心躍るような冒険と、様々な経験を経て成長していくその姿を描いていく作品です。その本質は先日読了した少年少女に向けたミステリ『ぼくと未来屋の夏』とまったく同じ。
だから今回の“はじめての友達”と、“決別”のエピソードは、友達という存在に憧れ続けた彼にとっては非常に重要なステップであり、これなしでは先には進めません。本作は、ボバ少年の成長を描くにあたっては不可避の物語だったわけです。
「SW」といえば、一般の認識ではスペース・オペラを思い浮かべると思うのですが、よくよく覗いてみるとその中には数多のジャンルを内包しており、米国で「SW」のホラー作品が刊行されたというのも頷ける話かも(『クローン・ウォーズ』の 2nd では怪獣モノにチャレンジしてたりも……)。
その懐の広さこそが「SW」の魅力! SW本格ミステリとか出ないかなぁ……。
あと、この巻から本文の体裁が変わりました。前回のは確かにムダにページ数だけ稼いでいるような、空白部分が多くてあまり良い気はしませんでしたからね。不評を受けての変更措置は素直に嬉しいんですけど、結果的には第1巻だけ体裁が異なるふうになってしまい、ページを開いたときにちょっと気になります(板挟み
次回配本は10月とのこと。
段々とボバにも愛着が湧いてきたので続きが楽しみです。
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