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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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山口芳宏『100人館の殺人』

100人館の殺人100人館の殺人
山口 芳宏

東京創元社 2010-03-24
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★★★☆☆

大富豪の館でメイドとして働く妹に頼まれ、名探偵・西園寺とその館にかけつけた神尾は、奇妙な殺人事件に遭遇する。衆人環視下、謎の方法で館の主が殴り殺され、容疑者は、なんと館を訪れていた計百人!誰もかれもが疑わしい!? しかも外界に通じる唯一の道である橋が爆破され、閉鎖空間内で次々事件が……。


 嵐の山荘モノで容疑者が大人数といえば『相棒 Season5』の「女王の宮殿」を思い出しますが、そんなものはまだまだ全然可愛いレベル。こちとら100人ですよ、100人。
 目の前で進む現場検証には人だかり。殺人事件の捜査で部屋を移動すれば、医療ドラマの教授回診のようにいちいち野次馬客たちがぞろぞろついて周る。その折々でミステリに詳しくない“一般の方々”のコメントが漏れ聞こえる様は画的にかなり新鮮で面白い。金田一少年のジッチャンがどうのとか、これぞ一般人な会話がナイスです。

 しかしそれにも増して斬新(?)なのがそのトリック。これにはマジで吹いたw
 純粋にトリックそのものに吹いたのはこの小説が初めてかも(はやみねかおる『少年名探偵 虹北恭助の冒険 フランス陽炎村事件』も笑ったは笑ったけど、あれはトリックじゃなくて“真相”にだったので)。シュール過ぎるでしょ、これ。
 無駄に100名分の名前と職業が載ってる数ページに渡る登場人物表といい、ほんとバカだなぁ山口芳宏(褒めてます)

 私は、本の感想において“荒唐無稽(=リアリティがない)”と“厨くさい”の2つが使われるのは大キライなのですが、それでも山口芳宏を評するのに、“荒唐無稽”という言葉以上にぴったりなものは思いつきません。勿論、良い意味での荒唐無稽さ――そんなバカな、と感じるようなことを平然とやってのけるその作風と発想力こそが山口芳宏の山口芳宏たる所以でしょう。
 地の文に散見する小ネタじみた喩えだったり、ちょっとしたツッコミだったり。そういところも含めて、やっぱりこの作家、スキですねぇ~(スキゾウさん風に)

 ただし『妖精島の殺人』の感想でも触れた探偵の命に対する軽薄さ、謎解き>命 の図式は本作でも相変わらずで、そこだけはどうにも感性が合わない。

(以下、ネタバレあり)

 物語終盤での西園寺さん(本物)による種明かしの場面なんか、仮にも自分の兄が殺されているにも関わらず悲しむそぶりのひとつも見せなければ、まるで動じてもいない。それどころかお得意のバルタン笑いまで披露する始末。そこらへんの不自然さがどうにも。良くも悪くも古典的なんです。

 ラストには真野原(祖父)と真野原(孫)も若干顔を出し、この物語はまだまだ別の作品へと続いていきそうな予感。というか“夜叉姫”という名前を出した数ページ後に『豪華客船エリスの大冒険』の広告記事とか宣伝乙。
 真野原(祖父)の「『大冒険』シリーズ」2作は未読なので、目論見にまんまと乗せられて読んでおきます。

それとは別に、この神尾兄弟と西園寺探偵の話もコスプレ探偵シリーズとして新たに始まりそうな匂いがしますね。
――や、始まれ!


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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