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ダン・ブラウン『ロスト・シンボル(下) Limited Edition』

ロスト・シンボル 下ロスト・シンボル 下
ダン・ブラウン 越前 敏弥

角川書店 2010-03-03
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★★★☆☆
ロバート、ここがそうだ。“失われしことば”だよ。ここにそれは埋められている。
フリーメイソンのピラミッドが導いたのは、まさにこの場所だ

古来より富と権力を手中にしてきた秘密結社フリーメイソン。その重要人物であるソロモン家に代々伝えられてきたという大いなる力を持つ“古の神秘”とは、一体何なのか? 舞台は ワシントンD.C. 、タイムリミットは 12時間! 謎の男マラークの要求に従い、暗号に導かれて連邦議会議事堂の地下室へ赴いたラングドンは……。


「ロバート・ラングドン」シリーズ 第3作。下巻です。
 なかなか進まなかったのですが、ようやく読み終えました『ロスト・シンボル』。最大の謎である“古の神秘”“失われし言葉”については、単純でありながら数多の宗教の垣根を越えて無二のものとして存在する、殆ど真理といっても良いもので、たぶんそれは各々の信仰を持つ人々からすると目からウロコの革新的な発想ですらあるのだと思うのですが、いかんせん無神論者の無宗教者の身には納得でき難いところがあるのもまた事実。じゃあ私にとっての“失われたことば”って何なの?ってな話です。そこのところの解釈も作中で言及して欲しかったかな、と。

(以下、ネタバレあり)

 けれど“失われた神秘”なんて本当は、聖書がどうの宗教がどうのと騒いだり、またそれらに依るレベルの話ですらなくて、要するに「自分の可能性を信じろ、可能性は無限だ」という普遍的なメッセージ、それだけのことです。当然といえば当然ながら、自分の限界を設定して生きている人間にはちょっと頭が痛い。そんな人が多くなった現在のこの世の中では確かに“失われた”といっても間違いではないでしょう。

 本作では“象徴としての”という言葉が大きな役割を担っています。たとえば錬金術とは石ころを金に変えることではなくて、あるモノの持つ“意味”を別のものに変化させること。だから“箱”が“十字架”に形を変えることは、仮にそれが同じ物質で構成されていたとしても紛れもない“錬金術”なのです。
 これはマラークの正体についても同様で、三人称視点の地の文でマラークがザックを殺したという記述も“象徴としての殺人”を意味しているので、あながち嘘とはいえません。ギリギリのところでアンフェアではないと思います。
 そのマラークですが、象徴としての儀式に疑問を抱き、実際にそれを実行してしまうほどまでに傾倒してしまったわが息子をピーターは一蹴できないはずです。方法は何であれ、その敬いの気持ちは誰にも引けをとらないのだから。奇しくも求めたものは同じ――彼もまたソロモン家の人間だったわけです。因果ですね。

 こうして読了してみて改めて思うのですが、本作は前作までとはまったく逆の体裁をとってストーリーが進んでいます。これは上巻の感想でも少し触れましたが、フリーメイソンの組織としての扱い方然り、いかにも怪しい人物がまったくの味方(?)だったり。マンネリのパターン化と見せつつ、実は逆手に取られていたというのは興味深い。

 とはいえ、サトウは当初からラングドンを部外者視していたとはいえ、せめて早い段階で「儀式の様子が外に漏れたらどうなるかわかるだろ」くらいのことは警告しておけば済むだけの話。ころころと視点を移して肝心なところを明かさずに引っ張る映像的な見せ方といい(というか描き方が映像化前提)、少し物語を都合よく転がしすぎている感も否めませんでした。
 それと作中で爆弾にするつもりで取っておいた“人間は死ぬと体重が軽くなる”という事実、結構知られてません? いまさらそんなわかり切ったことを大仰に指摘されても……。『21グラム』って映画まで作られていますし。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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