積読本は積読け!!

300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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築山桂『紅珊瑚の簪 一文字屋お紅実事件帳』

一文字屋お紅実事件帳 紅珊瑚の簪 (廣済堂文庫)一文字屋お紅実事件帳 紅珊瑚の簪 (廣済堂文庫)
築山 桂

廣済堂出版 2006-03-16
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★★★☆☆
偽者大いに結構。あのころみたいに度胸と勇気のある者が町に現れて、
あたしら商人の鬱憤を晴らしてくらたらええ、町の者もみんなそう思ってます

摺り物屋のあるじが何者かに殺害された。母の死とともに江戸から大坂に移り住み、父親と二人で小さな本屋、一文字屋を切り盛りしているお紅実が事件に巻き込まれる。事件の裏には莫大な御用金を大坂商人に要求する勘定奉行と、それに対抗して商いや町人の生活を守ろうとする豪商たちとの確執が……。町奉行所役人でありながら商人の味方として幕府の圧制に対抗しようとする与力。お紅実は事件の渦中に放り込まれ、過去の「大坂城御金蔵破り」事件にも関わっていく。お紅実の意外な過去が明らかに……。


「一文字屋お紅実事件帳」第1作。
順調に読み進めている築山桂の著作、今回は「一文字屋お紅実事件帳」です。

 本作はなんと義賊もの。築山作品でお馴染みの大坂を護る一族・在天別流もある意味ではダーク・ヒーロー的雰囲気を持っているのですが、あちらはどちらかといえば闇に潜んで姿を現さず、あくまでも神秘的な影の存在。その点、今回登場する猿飛一味は、金持ちから派手に盗みをやらかしては民衆にその一部をばら蒔く人気者というまさに王道の義賊像。
 そんな具合だからヒロインのお紅実もいままでになくアクティブで、母親に叩き込まれた技術で牢破りなんかを平気でやってのけます。かといってあかねのように思いつめたような強さもなければ、鴻池一族の女の子たちみたいなやんちゃっぽさもない、割りに冷静派。 「寺子屋若草物語」のお涼のキツさを薄めて、お美和寄りの性格にしたらこうなるかな。作中でも言われていますが、大坂ことばではなく江戸ことばを話すところが凛とした印象を持たせます。

 相変わらず、真っ直ぐな女の子を描かせたら築山桂!な感じで瑞々しさがたっぷり。恋人がいると知りながら仙太郎に想いを寄せるお紅実。今回はまだ、その想いでい続けることに決めましたが、1対1の恋愛関係が多かった築山作品において、その気持ちが珊三に移り替わっていく様をどう描いていくのか、も再結成した猿飛一味の活躍と同様に楽しみです。

 正確にはわからないのですが、この「一文字屋お紅実」は「緒方洪庵 浪華の事件帳」のおよそ10年くらい前の物語の模様。現段階で読んだものを年代順に並べると「あかね」→「寺子屋若草物語」→「一文字屋お紅実」→「緒方洪庵 浪華の事件帳」→『鴻池小町事件帳』でしょうか。そのため『鴻池小町事件帳』では既に隠居の身であった希楽が本作ではまだ現役だったりします。
 ラストにはさらに「あかね」のシリーズとの思わぬ繋がりが――というのは考え過ぎかもしれませんけれど、200年の時を経て「あかね」に準ずる物語をお紅実たちが話題にしている場面は、ちょっとロマンが漂っていて無性に感激しました。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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