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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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夏目漱石『坊っちゃん』

坊っちゃん (新潮文庫)坊っちゃん (新潮文庫)
夏目 漱石

新潮社 2003-04
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★★★☆☆
箆棒め、イナゴもバッタも同じもんだ。第一先生を捕まえてなもした何だ。
菜飯は田楽の時より外に食うもんじゃない

学校を卒業したばかりの正義感あふれる“坊っちゃん”が四国の中学校に数学教師として赴任した。先輩の赤シャツや野だいこなど、偽善的な俗物教師たちを相手に“坊っちゃん”は大騒動をくりひろげる……。


表示されなかったのですが、持っているのは限定版赤カバー。
去年の新潮文庫 夏の100冊キャンペーンで買ったやつです。
 なぜ『坊っちゃん』なのかというと、わが愛する古野まほろの「探偵小説」シリーズをより深く理解するために他なりません。要は元ネタチェック。西尾維新『サイコロジカル(上)』であった“伊館郁夜”の元ネタを理解するためだけに清涼院流水のJDCシリーズを読破したときに比べれば訳もないことです。
 さあ、赤シャツだんごでも山嵐だんごでもどんと来たまえよ!にしても古野まほろから漱石に入る人間は日本広しといえど私くらいのものでしょうね。登場人物がぞなぞなしてたり、住田温泉が出てくるだけでテンションが上がって困るww

前置きが長くなりましたが、本題。
 あらすじ等では坊っちゃんは直情的なところがある正義漢と評されることが多く、本作自体も勧善懲悪のものとして捉えられるのが一般的なようですけれど、私はそうは思いません。何かにつけて会津や松山を田舎と馬鹿にして(ていうか“ぎり”って地の文で使ってますけど、愛媛言葉ですよね?)、自分が正しいと信じて疑わずに突き進む坊っちゃんの性格は大概です。自分の信念に従って生きている姿というのは一見カッコ良く聞こえも良いものの、結局のところそれらは他人(特に身近で接している人間)からするとわがまま以外の何ものでもない。職を投げ打って東京に帰るという意志も、即ち他者に対する責任の放棄に違いなく、自己中心的且つ自己満足に過ぎないのだと思うわけで。ラスト、ああいう結果になってしまったのも要するにそういうことなんです。

 と同時に、この物語が長年に渡り、多くの人々に支持され読み継がれているのもよくわかります。これってつまり、ヤンキーものの映画やドラマなんかと同じ構図なんですよね。義理と人情に厚く、曲がったことが嫌いで自分の信念を持っている――主張を曲げなくては生きていけない世の中にあって、ヤンキーものの作品が支持されるのはそういうことからです。
 ただ、そういう演出でスカッとする人もいればそうでない人もまた、いて然りでしょう。私は後者の人間なので、そういったドラマを見ても「その主張はもっともかもしれないけど、そこで胸ぐら掴んだりするのは違うだろ」と思ってしまいます。しかしまぁ昨今、そういった要素がドラマ等のヒットの黄金条件として挙げられている現状を考えると、自分は圧倒的にマイノリティなんだとも、重々に感じています。

 最後にひとつだけ。漱石の作品はそれこそ『坊っちゃん』を国語でやった程度で、真面目に読むのは今回が初めてになるのですが、結構独特な語感をしてますね。“私語く”で“ささやく”とか“喋舌る”で“しゃべる”みたいな。太鼓を叩く人に“ぼこぼん君”と謎の仮名を付けたり……。そもそも君付けの発想が面白い。こういう感性、嫌いじゃないです。


――よし。
これで『鹿男あをによし』の予習もばっちりだぜっ!!


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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