2010.05/18 [Tue]
映画『アイ,ロボット』
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★★★☆☆
人間ならわかったハズだ
ロボットに心はない、ただの光る機械だよ
2035年のシカゴ。ロボットは人間の日常生活に欠かせない存在となっており、人間とロボットの共存は、三原則によって守られていた。一. ロボットは、人間に危害を加えてはならない。一. ロボットは、人間から与えられた命令に服従しなければならない。一. ロボットは、前掲第一条及び第二条に反する恐れのない限り、自己を守らなければならない。ある日、ロボット開発の権威である科学者が謎の死を遂げる。その死にロボットの関与を疑ったスプーナー刑事は、ロボット心理学者カルヴィン博士の協力のもと、その謎を究明していく。そして、想像を絶する恐ろしくも巨大な陰謀に巻き込まれていくのであった……。 (2004年 アメリカ)
アイザック・アシモフが提唱したロボット工学三原則をテーマとして扱った作品。一応、原作はアシモフの『われはロボット』ということになってますが、あくまでもコンセプトに用いた程度であらかたオリジナルの脚本によるものだそうです。そうやって見ると、タイトルの『アイ,ロボット』は単純に原作の名前そのまんまを付けたわけでなくて“尊敬すべきアシモフの『われはロボット』から取りました”と解釈するのが良しでしょう。
博士はなぜ死んだのか?絶対不可避の三原則をプログラムされているハズのロボットが殺人犯と成り得るのか?真犯人は誰なのか?という謎を軸に、前半は話が進みます。 あらすじだけ追うといかにもミステリなSF映画ですが、結果から言ってしまえばそれらは別段推理が必要なものでもなく、物語の主題でもありません。
本作の核心部分――テーマは主に後半で如実な形となって描かれます。つまり、ロボット三原則はどうあるべきか?これに尽きるでしょう。原典となる一文があって、それをどう解釈するか。解釈の仕方次第ではどのようにもなり得るというところが、単純なようで難しい。ある意味、日本の憲法論争なんかにも近いかもしれません。
そうして考えると、本作ではかなり理想的な解決をさせたと思います。無機質な合理性だけで判断せずに“こころ”に依って、互いを思いやることで世界は平和になるんじゃない?みたいなメッセージで。
しかし、ロボットの夜明け=感情の芽生えとも見れるあのラストは、同時に大きな不安を残していったようにも感じられます。他とは明らかに違う先駆者的なひとりのリーダーが群集の先頭に立っているこの構図、『猿の惑星』第4作『猿の惑星 征服』を彷彿させるんですよね。リーダーに触発されて知恵を得た彼らは次に何を思うのか?たぶんそれはロボットを軽視する人間に対する不満であり、いずれ確実に衝突が起きるでしょう。それを考えると、例のラストを安易にハッピーエンドだとは、どうしても捉えられないところがありました。
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