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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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はやみねかおる『帰天城の謎 ~TRICK 青春版~』

帰天城の謎 ~TRICK 青春版~帰天城の謎 ~TRICK 青春版~
はやみね かおる 鶴田 謙二

講談社 2010-05-15
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★★★★☆
彼女たちを見捨てて逃げられるわけないじゃないですか!
さぁ、はやく埋蔵金を見つけにいきましょう!

山田奈緒子と上田次郎は実は過去に出会って、事件を解決していた!? 花も恥じらう女子中学生、山田奈緒子。日本一周武者修行の旅をしている、上田次郎。不思議な縁で出会った二人は、N県の踊螺那村で、奇妙な事件に巻き込まれる。消えた城、隠された埋蔵金、玲姫の妖術……。超常現象は、すべてトリックで説明できるか!? ドラマ『TRICK』とはやみねかおるの絶妙なコラボレーションが実現!!


 原作(?)の『TRICK』は劇場版2、3、スピンオフドラマ『警部補 矢部謙三』を除きすべて視聴済み。結構好きな作品です。それをわが愛するはやみねかおるがオリジナルストーリーでノベライズ――しかも中学生山田の夏を舞台にした冒険譚と来たら、“ひと夏の物語”好きとしては黙っていられません。当然の如くそれがつまらないわけもなく、ミステリとか謎解き以前に、物語として非常に良かったです。語り部の山田が相当に外道丸出しなのに終わり方も爽やかで、まさに“ひと夏”モノ(何それ)のお手本みたいな作品に仕上がっています。

 『TRICK』としても見ても村人が訛っていないのと地図上の名前で無駄に遊んでいないことを除けば、キャラクターや定型のシチュエーションなど、再現度はなかなかです。上田の「思ったとおりだ」とか矢部の髪ネタ、山田の性格や「全部お見通しだ!」など触れてほしい部分はあらかたカバー。山田&上田の掛け合いにも笑わされます。
 しかしなんといっても注目すべきは山田の一人称の酷さ(褒めてます)です。この中学生山田、当たり前といえば当たり前ですけど、少なくともいままでのはやみねヒロインにはなかったタイプの超自己中&無責任型。はっちゃけ具合も『復活!! 虹北学園文芸部』のマインを軽く越えてます。バカでしょ、ほんと。都合の良い解釈やツッコミはもとより、学業優秀にして容姿端麗とか、どんだけ嘘書いてるんだw
 本当のことを指摘されてトップシークレットをばらすなとか言って憤慨してるし。仮にもミステリの地の文で嘘を吐くな、嘘を。
 ただ、地の文での“編集部注”は正直くどかった。そこはその都度、キャラにツッコミ入れさせた方が良かったかなぁ。

 ドラマファンなら気になる、執筆にあたってはやみねを悩ませたという「山田と上田は『母之泉』事件で初めて会ったことになっている」問題ですが、私自身はこの解決策、充分にアリだと思います。ある意味、それで通るのがこの二人らしいとも思います。普通に、スイッチ切るように切り替えてそうですもん。
――ていうかドラマ自体、『2』の最後にあった二度と会えない云々の話とか、全くスルーして『3』の第1話を始めてますしね。


 ちなみに今作では世界観に配慮してか、恒例のはやみね作品小ネタはほぼ皆無。かろうじて上田の口からPTAについて語られたくらいでしょうか。わからない方は夢水清志郎事件ノート『あやかし修学旅行 -鵺のなく夜-』参照ですよ。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

当ブログはリンクフリーです。
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