2010.05/14 [Fri]
アガサ・クリスティ『ポアロ登場』
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★★★☆☆
シツナイノシャシンナドトッテ ジカンヲムダニスルナ
アレハ ロシュツブソクダッタシ ゲイジュツセイノ カケラモナカッタ
おしゃれで、潔癖で、自負心が強く、小柄な体格で風変わりなベルギー人が、“灰色の脳細胞”を駆使して、次々と難事件を解決する……いまや世界に知らぬ人のない名探偵エルキュール・ポアロが、よき相棒のヘイスティングズとともに14の謎に挑む!ミステリ史上屈指の名コンビが活躍する最初の短篇集。
「エルキュール・ポアロ」シリーズ 第3作でポアロの第1短編集。
刊行順では3作目ですが、時系列的には『スタイルズ荘の怪事件』以後、『ゴルフ場殺人事件』の前にあたります。
全部で14の短編で構成されていますが、一編が20ページ強ということもあってか、正直なところ論理のキレや事件の面白さに関してはそこまでのインパクトもなく、「チョコレートの箱」がなかなか良くできていたくらいでしょうか。
どちらかというと本作はキャラクターを楽しむ小説です。船に乗ると聴くだけで普段の自惚れ屋が一転、急に元気がなくなるポアロ(そのくせ船に乗る機会が多い)や、頼りにされて調子に乗って「言うまでもないことさ、ワトソン」とホームズの真似までしてしまうヘイスティングズには笑わされます。世界的に有名な名探偵の相方が、これまた知らぬ者はいないだろう名探偵の代名詞のモノマネを披露するのが個人的にツボ。ポアロも有名なんだよ、ヘイスティングズ?
なんやかんやとお互いに言い合いながらのポアロとヘイスティングズのLove×2加減も充分に堪能できます。
ただ、頂けないのが訳文。本作のポアロは、前2作のポアロとは一人称から言葉遣いに至るまでまったくの別人というくらいに違って、違和感が先行して読むのがかなりきつかったです。『スタイルズ荘』のカヴェンディッシュがキャヴァンディッシュと表記されていたり。『スター・ウォーズ』でいうところのコルサントとコルスカントみたいな。シリーズは30作以上と膨大な量があるので同じ訳者を使えとは言いません。ですが、最低限レーベル内での表記を統一させるくらいはしてほしいです。喋り方で結構、印象変わりますよ?
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