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映画『アイ・アム・レジェンド(劇場公開版)』

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★★☆☆☆
誰か生き残っているなら、応えてくれ――頼む。
予防不能、治療不能のウイルスによって汚染された地球。なぜか免疫があった軍所属の科学者ネビルは、荒廃したニューヨークで――あるいは世界で――ただ一人の生存者となった。必死に他の生存者を捜すネビルだったが、生存していたのはヒトではなかった。ウイルスによって変異したミュータントたちが闇に潜み、ネビルを監視していたのだ。ネビルが致命的なミスを犯すのを待ち続けるミュータントたち。過酷な状況の中、ネビルを支えているのはただひとつの希望。それは免疫のある自分の血液からウイルスを根絶する薬を作り出すこと。迫り来るミュータントとタイムリミット。地球最後の男に希望はあるのか?(2007年 アメリカ)


 こちらも少し前に地上波放送していたやつです。そしてこれ、見終わってから知ったのですが、実は“劇場公開版”と2枚組のセル版のみに収録された“別エンディング版”の2種類が存在するらしいです。しかもこの別エンディング版というのは単にエンディング部分のみがさくっと収録されているわけではなく、本編からもうひとつの結末までが丸々一作品として収められているそうです。
 私自身は本来的に物語の結末はひとつという考え方で、別エンディングなんて露ほども認めない人間なのですが、なるほど作品として別Ver.があるのだとすれば話は別。それは大いに認めます。
 問題なのは、この劇場公開版というのは映画会社によって無理やりに差し替えられたものであるということ、そのため本Ver.では物語内で放置された点がいくつか生まれ、結果的に平凡な作品と化してしまったことです。ネットで読んだ別エンディングの内容にはある種のミステリ的などんでん返しが仕掛けられており、それまで語られてきた物語の中にきちんと映像的、構造的に伏線が張られると同時に、この手の映画ではいままでにない作品となっているようです。差し替えとか、ほんと馬鹿なんじゃないの?

――まぁ、見てもいないものについて語っても仕方がないので、ここからは劇場公開版の感想です。
 『ブラインドネス』ばりに廃墟と化した街、動物園から逃げ出したであろう野生化した動物たち。その中で人間は主人公ただひとり。登場人物が主人公と犬のみで物語が進み、マネキンに友人さながらに声を掛けるネビルの様子が静かな孤独感を浮き彫りにさせます。
 同時に時折の回想を挿んで、ウイルス感染によって人々が凶暴化し、やがて姿を消すことになった経緯が断片的に語られ、そこから物語はバイオハザードちっくに。つまり、ゾンビのようになってしまった人間たちに襲われ、逃げる、闘い、倒す。そしてある時には生け捕りにして人間に戻すための実験を繰り返す。すべては自分以外の人間と出逢うために。それでもバイオハザードものでありながら比較的静かに進む物語はどこか詩情的ですらあります。

 後半、ネビルは他の生存者と合流することになるのですが、ここで面白いのがこの作品で語られる“世界”とは、あくまでも自分の見えている範囲内に限られる――箱庭的な世界であるということです。ネビルは、自分はたったひとりだ、誰か生存者はいないかというメッセージをラジオの電波に乗せて流していますけど、例えばNYで、アメリカではたったひとりの生存者かもしれませんが、ネビルが知る手段のないところ――海を隔てた日本なんかでは、極論まったくの平穏無事で何億もの人々が暮らしていないとも言い切れないのです。結局、知る手だてや渡り歩いていく手段がなければ、他がどういう状況にあろうが陸の孤島。孤島の中だけが“世界”で、その“世界”の外などあってないようなものなんですね。自分の知る“世界”が虚構の存在かもしれない――それは少し怖い考え方ではあるけれど、だからこそ逆に、また可能性も無限に存在しているとも言えます。セカイの摂理ですね。まぁそこらへんがキーだったりするわけですが……。

 実際のところ、終わり方とかふーん、という感じで、その唐突さも含めてかなりどうでも良い映画であるような印象を残すこの劇場公開版ですが、敢えて評するなら、そんな風に少し詩的で哲学的な部分を孕んだバイオハザード映画といったところでしょうか。
 しかし良作となり得た作品を結果的に貶めたヴァージョンでもあるため、この劇場公開版の評価は低くせざるを得ません。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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