2010.04/05 [Mon]
マンガ総評:東まゆみ『EREMENTAR GERAD』
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★★★☆☆
風の空賊団「紅山猫」に身を置くお調子者の少年クーはある日盗んだ財宝の中から古びた大きな柩を見つける。彼が柩を開けると中には一人の少女が横たわっていた。ちょうどその頃、エディルレイド完全保護協会・アークエイルを名乗る、シスカ、ローウェン、キーアという3人がクーの前に現れた。聞けば、クーが目覚めさせてしまった少女を引き渡してほしいのだという。少女の名はレン。彼女は人間ではなく、人の姿をした生きた武器エディルレイドであり、その中で最強の力を持つ七煌宝樹の一人だったのだ。人間に利用されることを恐れるレンを守り、また、彼女が行きたいと望む場所へ連れて行くことを決意したクーはレンと共に、そしてなぜか同行することとなったアークエイルの3人とも一緒にエディルガーデンの地を目指すのだった。 全18巻。
月刊コミックブレイド創刊当初から続いた長期連載作「紅」の『EREMENTAR GERAD』も18巻をもって完結。正直なところ、ラストの展開に関しては足掛け8年やっていた作品とは思えないくらいに投げっぱで、うやむやなところが多いままに無理やり終わらせたような印象さえ受けます。そんなことはないハズなんだけどなぁ
ただし著者自身もそのことに関しては重々自覚しているようで、残された謎に関しては現行連載中の「蒼」の『EREMENTAR GERAD』などで解き明かしていく模様。「紅」が実質的な第1部、「蒼」が第2部ということであれば、それはそれでまだ許せる終わり方ではあるかな。
この作品はバトルもののファンタジー、少年クーの成長物語という王道ストーリーです。種族も出自も年齢(エディルレイドは何百年も生きる)も全く異なる、たまたま出逢ってしまっただけのクーとレンが旅と戦いを通してお互いを信頼し、想うようになっていく様を描くのと同時に、当初はレンを“保護”するつもりでいたシスカらアークエイルの3人とも旅や闘いを通して次第に打ち解けていくまさに絆の物語。本来からして目的の違うクー、レンとシスカたちが単なる“同行者”から、内心を吐露して本当の“仲間”となるミリアルド=トレイ編はお気に入りです。
極論、使役するものとされるものである人間=契約者とエディルレイドの関係性はこの“絆”の部分を描くのにはもってこいですが、それだけで終始せず、契約者だのエディルレイドだの関係なしに人と人との繋がりを魅せてくれるのがこの作品でした。時にそれがゲストだったり、敵に対してであったりするわけですが。
イラストがかなり綺麗なのですけれど、雑誌が雑誌だからなのか、いかにもマッグガーデン的な、ヲタめな女の子が好きそうなキャラが敵側にときたま出てくるのはちょっと戴けなかったですね。
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