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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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深水黎一郎『エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ』

エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ (講談社ノベルス)エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ (講談社ノベルス)
深水 黎一郎

講談社 2008-02-08
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★★★☆☆
サム・フランシスのトレーナーですよ。これが一日探偵代ということでどうです?
モディリアーニやスーチンら、悲劇的な生涯を送ったエコール・ド・パリの画家たちに魅了された、有名画廊の社長が密室で殺されるが、貴重な絵画は手つかずのまま残されていた。生真面目な海埜刑事と自由気ままな甥の瞬一郎が、被害者の書いた美術書をもとに真相を追う。


「芸術探偵」シリーズ 第1作。
第1作とはいいつつも、メフィスト賞受賞作の『ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ!』(未読)の海埜刑事がメインキャラクターとして登場し、さらには作中でその“ウルチモ・トルッコ事件”についての言及があるなど、実質的には前作と地続きの作品だったりします。どちらから読むか迷った挙句にこっちを選んだんですけど、読み方しくったな……。

 内容自体はかなりオーソドックスで、舞台装置や事件の展開、真相、地道に地道な警察捜査など、最初から最期までまるで一時代前のミステリ小説――或いは大御所作家のシリーズものミステリを読んでいるかのような印象。いまどき作男って表現……そうは聞かないですよ。
 けれどそれでつまらないかというと全然そんなことはありません。霧舎巧のように新本格で王道に挑んでいるわけでも、古野まほろみたいに論理的思考の推理過程に傾倒しているわけでも、はたまた高田崇史的に歴史の謎を紐解く話でもなくて、天祢涼に見られた地味ながらにトリッキーな展開でもないのですが、これが面白い。たぶん“手堅い”という言葉はこういう時に使うのだと思います。

 芸術探偵ということで、今回はタイトルにもあるようにエコール・ド・パリ――いわゆるパリ派と呼ばれる芸術家に焦点が当てられ、これが物語の上でも大きな意味を握ってきます。私自身は画家の名前を挙げられたところでたまに知ってる名前が出てくる程度という知識レベルですが、それでも『現代アート、超入門!』なる本を手に取るくらいには美術に関心はあったりするので、こと作中作のエコパリ美術論の部分に関してはなかなか楽しませて貰いました。というか、この『現代アート、超入門!』で叩き込まれた(?)絵の見方が思いの外思考に馴染んでいたようで、絵画=必ずしも美しさを探求しているわけでない、というような話にもひとりうんうん頷きながら読んでいました。

(以下、多少のネタバレ)

 ただ、メインの謎となる密室トリックですが、瞬一郎は今回の事件での“密室を作った理由”は前例がないのでは、と作者自身の自信の表れとも取れる自画自賛的発言をしているんですけど、これって阿部寛主演のドラマ『最後の弁護人』でやったことあるパターンじゃなかったでしたっけ?細微は違いますが、理由そのものとしては。既に見たことあるトリックだとやられた感がまったくないというか、むしろ拍子抜けのがっかり感しか残らない罠……。
 そんなこともあって密室トリック的には汀こるものの『パラダイス・クローズド』の方が意外性があって良かったです。事実上の真犯人の犯行まではなかなか考えられていただけに、その点だけが残念でなりませんでした。

 
余談。
エコール・ド・パリの一人一派ともいえる作品の多様性って、まんまメフィスト賞作家のことですよね。なんてメフィスト賞作家が取り上げるに相応しい題材!


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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