2010.04/02 [Fri]
鯨晴久『みんなのヒ・ミ・ツ♡』
![]() | みんなのヒ・ミ・ツ (GA文庫) 鯨 晴久 梅原 えみか ソフトバンククリエイティブ 2009-06-15 売り上げランキング : 604212 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★☆☆
ありがとう、草薙……えっと。うん。大事にするわ。
自分のしかけた誘惑に屈しなかったことに腹を立てた悪魔リルによって「他人のヒミツを知ってしまう」能力を得てしまった草薙和人。その力で知ってしまったのは、なんと学年でも一、二を争う人気者で美人の椎名沙紀のヒミツだった!リルはそのヒミツを盾に、沙紀をモノにしてしまえとそそのかすが、和人は断った。が、ヒミツを知られてしまった沙紀はいつバラされるかと、気が気ではない。そこで彼女は、和人と付き合っているフリをして行動を監視をすると言って来たのだ!かくして、さまざまなヒミツを知ることになってしまった和人は次々予期せぬ受難ならぬ女難(?)と対峙することに!悪魔なト“ラブ”ル・ラブコメディ勃発。
「みんなのヒ・ミ・ツ♡」第1作。
他の人が本を読むときにどういう状態なのかはわかりませんが、自分の場合は文章を追うという行為は頭の中にビジュアルが浮かぶということに直結しており、像を結んで初めて“読書”が成立します。なのでたまにまほろさんのような装飾華美過ぎて文章が上手く呑み込めない本に出逢うと、それがきちんと脳内で行われず、結果挫折ということになってしまうわけです。
一方で、それとは少し異なり、想像したビジュアルに“白い”部分が多く、謂わば虫食い状態になっていることがあります。これは主に描写の書き込み不足によるところが大きいのですが――まぁ、この作品ですよね。実際に気になったのは最序盤のリルとの会話シーンくらいなのですが、擬音だけで表現しようとするからそうなるんだろうなぁ……。
――ですけど、ストーリー自体は結構好きだったりするんですよね、これが。主人公に秘密を知られてしまった女の子が、監視がてらに主人公くんを振り回しているうち、そのさり気無い優しさに触れていつの間にやら惹かれていくという筋書き。基本的に90年代少女マンガ好きな人間なのでこういうストーリーにはめっぽう弱いです。主人公に好きな娘がいるせいか、他の娘に対して下心がないのも良いです。朴念仁的な感じも王道というかお約束で。
そういった恋愛部分も勿論ですが、それだけではなく後半に待っているシリアス展開の返し方もなかなか上手く考えられていて、その作劇の仕方にひとり関心してしまいました。まさかそうくるとはね……。はふう。
しかし椎名、可愛いな。イラストは正直言ってそんなに魅力的な方でもないし、ツンデレなんて迷惑以外の何ものでもないと思っている私ですが、ラストのやけくそ具合とか可愛過ぎる。逆に言えばそういった要素に頼らずとも文章のみで椎名沙紀というキャラクターの魅力的が十二分に描かれているということでもあるわけで。負けるな椎名!がんばれ、メインヒロイン!!
というわけでこのシリーズは継続して読んでいくこと決定。
スポンサーサイト
Comment
Comment_form