2010.03/21 [Sun]
佐藤友哉『1000の小説とバックベアード』
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★★☆☆☆
小説を書くような心で映像を撮ったら、それはもう小説なんですよ
二十七歳の誕生日に仕事をクビになるのは悲劇だ。僕は四年間勤めた片説家集団を離れ、途方に暮れていた。(片説は特定の依頼人を恢復させるための文章で小説とは異なる。)おまけに解雇された途端、読み書きの能力を失う始末だ。謎めく配川姉妹、地下に広がる異界、全身黒ずくめの男・バックベアード。古今東西の物語をめぐるアドヴェンチャーが、ここに始まる。
第20回三島由紀夫賞受賞作。
『ゲゲゲの鬼太郎』ファンにとっては回避できない求心力を持つこのタイトルに、迷わず買い。
……ファンタジーかと思って買ったら純文学だった orz
読み始めて数ページでそのことに気付きました。気付いてしまいましたが、なんとか読了。作品自体の良い悪いの問題ではなくて、純文学のこういう意味不明なシチュエーションが意味不明な理屈で意味不明に解決していく様がまったくもって理解できない自分にとっては、ある意味いちばんやっちゃった選択。佐藤友哉の作品を読むのがこれが初ですけが、一冊目がこれだと正直キツいっす。いくらメフィスト賞好きとはいえ『フリッカー式』を手に取る気力が完全に失せてしまったといっても過言ではありません。いや、完全にこっちの問題なんですけど。
そうはいいつつ物語の展開自体は婉曲した世界観とストーリー展開で理解不能なのですが、その実、作家・佐藤友哉が小説を書くという行為に懸ける姿勢、意気込み、悩んでいたことなどのテーマ部分はどストレートに伝わってきます。そもそも小説とは何なのか?どう作っていけば良いのか?各章内の小見出し部分の一言指南なんかに愛着を感じます。ある意味、ここが“答え”のひとつひとつでもあるんですよね。結構興味深いです。
最終的に辿り着く、ラストに待つ“答え”については巡り巡ってまあそういうことだよね、って感じです。それこそ普遍の真理だと思います。
部分だけ取り出してみれば図書館脱出のくだりなんかは少女の可愛さにも助けられて(?)意外と楽しめましたが、それ以外はうーんと首を傾げたくなるのは誤魔化せない事実。
ほんと純文学は向いてないです、私。
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