2010.03/15 [Mon]
築山桂『浪華疾風伝 あかね 弐 夢のあと』
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★★★☆☆
私の名は
――あかね
天下人太閤秀吉の血を引く姫ゆえ、身代わりを立て、真田幸村の嫡男・大助と逃げ延びてきた茜。弟・国松丸の消息をたどり八年ぶりに還った大坂で、豊家の隠し財宝を巡る陰謀に巻き込まれた。その騒動の渦中、実の母から聞かされたのは、茜に自らの出自を、さらには大助の忠誠をも疑わせる言葉で――。
「浪華疾風伝 あかね」第2作。
きたきた来ました『あかね』の新刊!今年になって築山桂にかなりハマりましたが、そもそもの決定打(?)となったのがこの『あかね』です。次巻発売までの2ヶ月が長かったこと長かったこと。待ちくたびれましたよ。
内容の方は、まずは今作で第一章決着といったところでしょうか。茜の出生の秘密と天秀尼脱走の真意、鴻池屋の事件(蒸し返されちゃいます)という前巻からの要素に加え、隠れキリシタン問題も絡んできて前作のような大どんでん返しこそありませんが、期待に違わず面白かったです。
今回のテーマはさしずめ過去への決着、決意と旅立ち。終わり方もそうですが、茜が自らを“那々姫”ではなく“茜”と名乗る場面や甲斐が因縁の相手と対峙することなども勿論ですが、その他にも鴻池屋に天秀尼、寺嶋宗左衛門、キリシタンを始めとしたとある村の住人間の対立など、すべての人々が何らかのものを乗り越え、新しい自分と向き合っていくことになります。まぁ未だに真意の掴めない人物も残っているわけですけど。そこらへんはさらに次巻以降に持ち越しですかね。豊家の隠し財や初瀬の方の真意、お守りの問題、国松丸の行方などなど未だに謎が残っていますし。まさかこれで終わりということはないでしょ。次回のポプラ文庫ピュアフル配本のラインナップに、続刊の予定が掲載されていないのがそこはかとなく不安なのですが。
ていうかそれだと少なくとも――というか早くとも、次巻まで4ヶ月は待たされるってことですよね。ありえん。
それと今回、ようやく甲斐の正体が明かされました。言うまでもなく在天別流の一員である、と。それに伴って在天の人間も幾人か登場し、物語に本格的に参入してきます。在天が絡んでくると、読んでいてなんかテンション上がります。これぞ築山桂!左近殿っ!!みたいな。左近殿はこの時代、まだまだ全然生まれてくる気配すらないんですけど。しかし「緒方洪庵事件帳」は左近殿と章の友達以上恋愛未満的なやりとりがあるから明るめですが、本家の在天は本当に“闇の一族”に相応しい暗躍(?)加減ですね。始終「異国びと」モード。
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