2010.02/25 [Thu]
アガサ・クリスティ『ゴルフ場殺人事件』
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★★★☆☆
シンデレラは、王子さまに話しておいたはずだったわ。
彼女がお姫さまに変わるとは、ひと言もお約束なんかしなかったのよ。
フランスに滞在する富豪ルノーが、ゴルフ場で何者かに刺殺された。ポアロが事件を担当することになるが、パリ警察の名刑事ジローも捜査を開始する。ふたりは、知恵比べをしながら調査をしてゆくことになるが、まもなく富豪殺しと同じ凶器で浮浪者が殺害される事件が発生した。はたして、両事件に関連はあるのか。
「エルキュール・ポアロ」シリーズ 第2作。
何、この甘々な恋愛小説。だがそれが良い。
アレですか?名探偵の相棒が2作目で大恋愛というのはデフォなんですかね?『四つの署名』とか。
そんなわけで、前作『スタイルズ荘の怪事件』でも友人の妻に惹かれたり、シンシア嬢にいきなりプロポーズしたりと、とにかく惚れっぽいヘイスティングズでしたが、今回もその性格は相変わらずです。ドーブルーユ夫人の娘・マルトを女神と評し、さらには謎の少女シンデレラにも好意を寄せていくわけですからね。……なんという愛すべきヤツなんだ、ヘイスティングズ。それでまぁその惚れっぽい性格が災いして大ポカをやらかした上にとんだ暴挙にまで出てしまうんですよ、この男。これは酷い。
ふうむ、なるほど。音宮美夜の言っていたのはこういうことなのね。
今回、事件自体の謎解きは前作ほど冴え渡っているようには感じませんでした。よくよく突き詰めてみれば確かにそういった答えに至るのでしょうけど、なにぶん事件のカラクリが複雑過ぎて。読み終わってから、こりゃあ看破できないな、と諦め模様は夏模様なんですよね。
ジロー刑事との対決も対抗心バリバリのポアロは面白かったですけど(特にラストww)、目に見えてジローが無能っぽく描かれていたので、ともすればポアロが負けるんじゃないかという緊張感はまったくもってナシ。ジローの一方的な負け試合な感がどうしても否めません。あれだ、『キン肉マン?世』で最初優勢に見せていた方が必ず負ける、みたいな。
そういったところから見ても、やはり本作はミステリ要素よりも恋愛重視でしょう。
――しかし、ジローって名前、あからさまにおかしいですよね? 日本人じゃあるまいし。きっとクリスティ女史のネーミングセンスは今の日本でいうところの西尾維新的な感じだったのではないかと邪推してみる。
ふうむ、なるほど。城坂論語の言っていたのはこういうことなのね。
そんなこんなで2作目読了。
次作はかの悪名高き『アクロイド殺し』――かと思ったのですが、刊行順ではどうやら短編集『ポアロ登場』が次らしい。
『アクロイド殺し』はしばしのお預けです(残念ながらネタバレを知っているんですけどね……)
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