2010.02/23 [Tue]
築山桂『夕月夜 寺子屋若草物語』
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★★★☆☆
どんな事情があったかて、捨てたとは言うて欲しない。
そんなこと言われたら、許せへんかもしれへん。
許婚の良平がもうすぐ帰ってくるという知らせを受けるお香。寺子屋を続けたい思いもあり今後を思い悩む。その知らせを持ってきた玄彰は、大昔に深い仲だった女、お高によく似た女の子を三春屋で見つけた。母親のおひさはお高の娘に違いない、顔や声もそっくりで年齢も合っていると言い張る。しかしおひさは違うと断言をする。果たして真実は。
「寺子屋若草物語」第3作。
お鈴さんが出てこなかった…… orz
あらすじの文章がどうにもややこしくて何度読んでも理解できなかったのですが、全部読んでみてようやく得心がいきました。“玄彰曰く”おひさはお高の娘に違いない、なんですね。なんともわかり難いw
それで今回、その玄彰や武林先生をはじめとした年寄り勢の言動がとにかく腹立たしい。善意からというのはわかります。わかりますけど、如何せん、それの度が過ぎている。西尾維新風に言うなれば“度が過ぎ過ぎている(傍点付きで)”。彼らの周りの見えなさ具合というか空気の読めなさ具合というか――突っ走り具合に、読んでいてかなりストレスが溜まりました。
そんなわけで物語は、お香の結婚話から発展してお涼の縁談話と、お美和と三春屋の今後、おひさとその娘・おさきの出生の謎と偽薬事件の二本線で進みます。前作、前々作とは異なり血生臭い事件が起こらないぶん、佐十郎の出番もめっきり減ってそれに伴いお美和の影もかなり薄くなっています。主人公なのに……
一方で予想外に目立つのがお涼姉さん。武林先生のお節介縁談話や慎さんの積極的アピールの甲斐あってか、ついにお涼にも心境の変化が……訪れたんですかね、これ?恋愛ごとに関してちょっとは自覚してきたみたいですけど。でも、このままなんとなく慎さんとくっついてしまうのも面白味がないので、ここは松屋宇兵衛に頑張ってほしいところです。
恋愛ごとといえば、おひささんの物語の最終的な落ち着きどころもなかなか良かったです。なんというか『めぞん一刻』的な? その純愛加減は気恥ずかしいとかじゃなくてカッコ良い、ですよね。
さてさて。良平さんが帰ってきたことで大きな変革が起こること必須の「寺子屋若草物語」。
次巻はいつ発売なのかは不明ですが、それまで別のシリーズを読破しつつ、楽しみに待っていようと思います。
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