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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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映画『守護神』

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★★★☆☆
22人は救えなかった数だ。そっちの方しか憶えていない。
人命救助に全てを捧げ数百人もの命を救ってきたベンは、アメリカ沿岸警備隊に所属し、数々の栄誉ある勲章に輝く伝説のレスキュー・スイマー。しかし、ある日大切な相棒の死を目の当たりにし、心と身体に深い傷を負い、現場の第一線から退くことを余儀なくされる。その後、ベンはレスキュー・スイマーを目指す者達の聖地と言われる<Aスクール>で教官として天賦の才能を持つ訓練生・ジェイクと出会う。無限の可能性を秘めた彼を見守りながら、生きる意義を見出していくベン。やがて2人は、過酷な訓練を通じ、衝突を繰り返しながらも父と子にも似た固い絆で結ばれていき――。 (2006年 アメリカ)


 さすがはアメリカ映画。冒頭の海難事故のシーンは大迫力で、それに続く“例の事故”でも、墜落するヘリの重み、迫る水しぶきと大波の表現が良く伝わってきました。

 それはそうなんですがこの『守護神』。考えることはどこの国にでも同じなのか、海難士の物語ということで『海猿』そっくりな訓練風景とストーリー展開が結構目立っていたり。訓練生同士の衝突とか即時リタイアとか“海猿”が集う街での出逢いだとか……。実際のところのこの作品の主題は、心に傷を負った教官・ベンとかつての傷を引き摺るジェイクのW主人公による双方を救い合う物語であって、テーマ的には『海猿』とはまったく異なものなのですが、それでもやっぱり既視感が拭い切れなかったのもまた事実です。
 また、ジェイクの秘密が明かされるのが物語の後半であったため、ベンがジェイクに向ける心情というのがこちらに伝わってき難かったのも事実。それはジェイクに関してもまた然りです。視聴者側としてはジェイクの過去に何があったのかを知らずに随分な時間、見せられていたので、途中まではジェイクがただの自信過剰な生意気なやつだとしか思えなかったのがネック。作劇する上で、それこそ導入部にベンの事故のくだりを入れたように、ジェイクの過ちも最初の時点で描いておくべきだったと思います。
 ただし、そういった事情が明かされた後のふたりの関係の変化というのはなかなかに上手く描かれており、あれだけ嫌っていたように見えたお互い(特にジェイクがベンを)をそれぞれが敬うようになっていき、最終的には本当の親子のような師弟になっていく様は見ていて気持ちが良いです。

 で、やがて向かえる卒業の日。そこで物語が終わるのかと思いきや、終わらないんですね。実は。びっくりしました。
 無事、海難士となったジェイクは現場復帰を果たしたベンと同じ職場で働くことになるのですが、どうもこの海難士編と、作品の大部分を占めた前半~中盤の訓練生編のバランスが悪い。中途半端に訓練生編が長いので、作品自体をどう見て良いものかいまいち迷ってしまう。つまり、どこに行き着いたら終わりなのか、という話です。
 それでベンが事故のフラッシュバックの悪化により引退、ラストの展開にもつれ込むわけですが、製作者としては最終的にはここを描きたかったんだと思うんですよ。けれど、前述のバランスの悪さもあって如何せんこれが蛇足のように見えてしまう。
 勿論、最後の救出シーンは小型船(?)だというのに迫力も満点。ジェイクとベンのやりとりも感動的ですらあるのですが、それでもなんとなく“余計”に感じてしまいます。

そんなわけで、個々の要素は大変良いのだけれど、総じてその時間内での“配置”の悪さにマイナスされた作品でした。
あと最後、子供の「見てー チューしてるよー!」のセリフには笑った。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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