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映画『魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』

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海鳴市で暮らす平凡な小学生、高町なのは。あの日なのはは、異世界から訪れた少年ユーノと出逢う。ユーノの目的は、海鳴市に散らばった異世界の遺産“ジュエルシード”の回収。暴走したジュエルシードからユーノを助けようとしたなのはは、自身に魔法の才能があることを知る。危険なジュエルシードを回収するため、なのははユーノと協力し、ユーノから託された知性を持った魔導端末“魔導師の杖”レイジングハートとともにジュエルシードの捜索を開始する。だが、同じくジュエルシードを捜索している少女がいた。少女の名はフェイト・テスタロッサ。母の願いを叶えるため戦い、奪う事に心を痛めながらジェルシード収集を行うフェイト。その哀しみを感じ取るなのは。戦いの中、二人は互いに力と心をぶつけ合い、なのはは自身の想いを伝えようとする……。 (2010年 日本)


「魔法少女リリカルなのは」劇場版。
タイトルは差別化の意味でもスタッフとしては、本当は『魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』よりも『Magical Girl Lyrical NANOHA The MOVIE 1st』にしたかったのかな、とか思ってしまいました。
 テレビシリーズ第1期をリメイクした映画になるのですが、設定としては第3期『魔法少女リリカルなのは StrikaerS』の3年後、『魔法少女リリカルなのは ViVid』の1年前にあたる新暦78年にとある世界で作られた、高町なのはとフェイト・テスタロッサ・ハラオウンの子供時代の出逢いを描いた映画という劇中劇となっています。『マクロス』方式ですね。そんな設定のためなのか『A's』や『StrikerS』を意識したセリフなんかも劇中では見られたりします。

てか

神作品 k t k r !!

これはやばい。超絶感動激熱作品です。

映画やアニメ、ドラマ、小説で泣くなんてことはまず皆無に等しい自分ですが、この作品は涙こそでなかったものの、相当に危なかった。観ている最中、瞬きをしたらじんわりとしたものが目の中で……それも1回じゃなくて何回か、別の場面で。随所随所で良いシーンが入ってるんですよ、これが。
 まず最初の入りからして、過ぎ去ってしまった“始まりの日の出逢い”の物語であることを明確にして見せていて、テレビ版よりも色調を抑えた白み掛かった画がなんともノスタルジックです。この入りのシーンは個人的にもお気に入りの『探偵小説のためのゴシック「火剋金」』のラストシーンにも似ていて。やっぱりお別れは海が似合うんですよ!なま海!!

 それはそうと。もとより『なのは』は個人的アニメランキングの序列第6位に位置するくらいに好きな作品で、その順位にしたって『StrikerS』の微妙さを加味してのことなので無印ベースとなると自ずとその期待度も格段に上がります。
 で、そんな今回の劇場版、予想と期待に違わぬ素晴らしい出来でした。2時間10分という長丁場は実にオリジナルの第1期のおよそ半分の時間にあたり、劇場版1作品にそれだけの時間を使った心意気(?)にまず感心です。作品自体も無印に見られたほんわか魔法少女ものの要素は思い切って削ぎ落とし、ハードな熱血魔法バトルアクションとしてストーリーを一から構成し直しているため、テレビ版と同じような内容であっても決して総集編な感じはしないんですね。確かに細かいことをいえば、なのはの幼少期のフラッシュバックの理由とアースラ滞在中の間、家族にはどう説明していたかなんてところが抜け落ちていましたが、そこはなんとか補整もできるし、それ以外はほぼ完璧な出来。一見さんさんでも全然大丈夫。これ一本で充分にひとつの作品として成り立っています。

 何よりも今回の劇場版に際して大幅に加えられたプレシア・テスタロッサ関係の過去シーンによって、テスタロッサ家の悲劇の物語もより深く掘り下げられているところがポイントです。これによって、これがなのは主体の物語ではんく、あくまでもフェイトも物語の主役として立たせること、さらにはプレシアもなのは、フェイトに次ぐもうひとりの主役とすることに成功したといえると思います。
 特にこのプレシアが現在の強行に至るまでの過程が丹念に描かれたことで、彼女が単純に狂信的な悪者でないことがはっきりと、それでいて痛いほどに観客には伝わるし、だからこそクライマックスでのフェイトへの拒絶の言葉に込められた真意を汲み取ることもできて、プレシアの最期のセリフと併せてそこがまた感動するわけですよ。

 なのはの気持ちも、フェイトのこころも、アルフの想いも、リニスの願いも、プレシアの悲痛と悔恨でさえも――すべてがひしひしと心に響いてくる。たったの2時間10分。その時間の中で立派に群像劇を構築し、悲劇と救済、そしてすべての始まりの出逢いの物語をキレイに纏めてみせた本作は、映画として文句なしに傑作の域に達していると断言できます。
 そんなわけでこの『魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』、今までの人生で観てきたすべての映画の中でもかなりの上位作といって良いです(そのうち「映画ランキング ベスト10」も公表したいと思います)

 最後に音楽関係で少し。
 この映画のラストでエピローグと共に田村ゆかりの「My wish My love」が流れるのですが、これがまた良い曲でEDにぴったり。なのに、その後にエンドロールに乗せて水樹奈々の『PHANTOM MINDS』を流す意味がわからない。いや、『PHANTOM MINDS』は「なのは」の正統な後継曲であるとは思うし、自分もかなり好きです。主題歌なんだから当然といえば当然なのですけど、明らかにEDよりOP向けですよね、この曲。EDはしっとりといきたかったんですよ。願わくばそこは『プリキュアオールスターズDX』方式で、主題歌はOPとして物語の導入部に景気付けに流して欲しかった。それこそ冒頭のユーノとジュエルシードとの戦闘場面とかで。
 しかし挿入曲としてまさかの『Flying high!』のイントロVer.(まさかのキャラソン!)や『Little Wish ~lyrical step~』のオーケストラ風を掛けたのはグッジョブと言わざるを得ない。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

当ブログはリンクフリーです。
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