2010.01/17 [Sun]
江戸川乱歩『怪人二十面相』
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★★☆☆☆
明智さん、ぼくは、どんなにかきみに会いたかったでしょう。
一日千秋の思いで待ちかねていたのですよ。
十年以上を経て突然帰郷した羽柴家の長男、壮一。折しも羽柴家には、ちまたで噂の盗賊「怪人二十面相」からロマノフ王家に伝わる宝石を狙った予告状が届いていた。変幻自在の愉快犯・怪人二十面相と名探偵明智小五郎、記念すべき初対決の幕が開く。
「少年探偵」シリーズ 第1作。
小学生の頃に読破し、探偵VS怪盗のその物語に心躍らされた「少年探偵」シリーズ。そんな懐かしのシリーズが、ポプラ文庫クラシックとして文庫サイズで刊行されたものです。まぁ自分は表紙に使われている旧版ではなく、綺麗なイラストが印象的な新版世代だったので、その懐かしさは単純に内容によるものなのですけれど。
今回、改めてこの作品に手を伸ばしたのは、ひとえに古野まほろの『探偵小説のためのゴシック「火剋金」』に影響されたといっても過言ではありません。しかし過去に一度読んだことがあるとはいえ、すっかり忘れてましたね、内容。
本作の読みどころはなんといっても明智小五郎と怪人二十面相の初対決。ナルシスト二人が揃うとこうも馬鹿馬鹿しいやりとりが為されるのかって感じで笑ってしまいます。実際のところそれ以外は、内容が児童向けなこともあって話の展開は見え見えですし、悪いホームズにありがちな変装ネタのオンパレードで、いまの年齢で読むには結構きついところもあります。懐かしさと二十面相のデビュー作であるという点を除けば、そこまで求心力のある内容ともいえないのもまた事実なんですね。
あと、いくらなんでも小林少年が普通にピストル持ってるのはどうかと思う。
総括するならこんな感じでしょうか。
――ああ、なんということでしょう。かつてのかわいらしい読者諸君は、大人になって純粋な気持ちを失ってしまっていたのです。
こういう読者巻き込み型の文体が子供たちの心を惹きつけるんでしょうね。
やるな、江戸川乱歩(何様
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